ぶっちゃけた話、実によく出来たタイガーマスク実写版と言えるジャック・ブラック主演「ナチョ・リブレ 覆面の神様」より。
映画冒頭。彼が修道院の僧侶や孤児たちのために作っている昼食。トルティーヤ・チップスに添えて出している、ドロッとした得体の知れない黒いカタマリ、これはおそらくフライド・ビーンズ。
作り方は、以下の通り。
せめて出来上がりにチーズを添えられたらカルシウムも補給できて完璧なのだが、生憎の孤児院の財政事情。チップスと泥だけでは、見るからに貧相な食事。
小手先の味付けの工夫は、実際に口を運んだナチョ自身がゲロってしまう結果に。
むなしい毎日を送るナチョ、ついに残飯しか調達できないところまで追い詰められる。「お前は何をやっている!」とラモン修道士に詰問されたナチョの台詞より。
そして彼はルチャ・リブレのリングに立つ。パートナーはそこら辺で捕まえた引ったくりの男。 虎の穴や野毛道場に入門した上で? ノーノー。
と相方がdisるような、矢野通みたいな寸胴、腹が出た、だらしない身体で。
もちろん、はなっから勝つ気などない。目当てはファイト・マネー。負け役として試合数を稼ぐ。TVマッチなら、なお高額だ。
狙いは当たった。調理師としての腕をふるい、子供たちにバランスの取れた食事:今まで不足しがちだった野菜も出すこともできた。やれば出来るのだ。
しかし物語は、ナチョの思いがけない方向へと進む。
「プロレススーパースター列伝」的な言い回しをすれば
だけだった男が
と、闘争本能を、現マットを支配するチャンピオンに対してギラつかせる様になる。
身バレして一度は修道院を追われる、それでも彼はリングに立つ。虎に生まれ変わるために。 修道院たちの孤児たち、恋するシスターの期待に応えるために…。
涙のしょっぱい味つけでパンを食った人間でなくても分かるであろう、浪花節のハッピーエンド。 どの様な結末を迎えるかは…見てのお楽しみ。