![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/128880620/rectangle_large_type_2_108d51fd2d05c03f085c10d4ffee7868.jpg?width=1200)
地には豊穣。シムアースの正当なるフォロワー「Terra Nill」。
シムシティがあまりにも有名すぎるゲームデザイナー:ウィル・ライトの発明したもう一つの傑作にシムアースが存在する。ずばり、地形・大気・生物・文明などを操作し惑星を育てることを目的とするシミュレーションゲーム。
2023年に発売されたTerra nillもフォロワーのひとつ。荒地を開拓するのではなく、回復させるコンセプトは珍しいといえるか。基本不可逆で環境は改善されていくので、手順さえ間違えなければ初心者でもクリアは容易い。酸素や雨などを発生させる「テラフォーマー」で環境を整えるにはどうすれば良いか、本家以上に教育啓蒙啓発に向いたシミュレーションゲームと言えるだろう。
プレイヤーは神の視点に立って、枯れた土壌、汚染された海、死に絶えた土地を回復させる。様々な機械装置を配置・稼働させて、間接的に大気の成分、雨の量、陸と海のバランス、などを管理し、生命が快適に棲める環境を作りあげていく。
ほぼすべての行動でリソースを消費し、上位の設備ほど、配置に多くのリソースを要するのはシムアースと同じ。異なるのは、 時間経過で少しずつ回復する…のではなく、緑化を進めたり生命が戻ったり、その結果としてテラフォーミングを成功させた分だけリソースを得られるということ。よほど下手を打たない限りリソースが枯渇することはなく、何も出来なくなりただ見ているだけの「待ち」の時間が発生しない、攻め一辺倒のテンポ良いゲームデザインもまた、魅力だ。
「偵察」ひとつにわずかでも手賃を必要とするその他同類のゲームと異なって、地形の情報を見るだけならリソースを費やさないのも、痒いところに手が届くところと言えるだろう。
それでは、プレイしてみよう。
まずは土壌改良から始めるのがミソだ。汚染された土地の除染を行い水を撒けば草原ができる。この草を焼いて、リン、窒素、カリウムなど集めた有機的な土壌ができて、森を茂らせる準備ができる。道理の理屈だ。
ある程度緑を増やし、次の段階に移ることができれば「酸素や二酸化炭素の濃度を調整し、最適な気温や降水量を維持する」「氷原を溶かして水を作る」「沼地を作る」「浅瀬を広げる」設備が使用可能に。行動結果後に得られるリソースが図示されるので、基本的に実行後の効果の大きい設備を優先的に配置すると良いだろう。
特に重要なのは二酸化炭素濃度の調整。大気中の温室効果ガスが赤外線熱をつかまえ地球表面から宇宙への熱流を妨げ地球を暖めているから、これも道理。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/128657596/picture_pc_b6be4cbbedc987cbf034b361418c036c.png?width=1200)
オプションの目標を満たすことも忘れてはならない。
「どのパラメータを基準に行動を起こせばよいのか分からない」ヘルプとなるし、達成によってキノコやシダやスイレンにサーモンといった、様々な生態系が満ち溢れて活動する様は、まるで「生きもの地球紀行」や「ダーウィンが来た」をさながら見ているかのよう。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/128657585/picture_pc_4d8f84fd1106401f6d426c8206395754.png?width=1200)
自然の大部分が回復したところで、最後に設定されるミッションは、決められた生物種が水に陸に、じっさいに繁殖しているかをウォッチングし、条件を満たす個体を発見すること。それは、深海を泳ぐクジラだったり、ジャングルで歌を歌うオウムだったり、ツンドラで苔を食むトナカイであったり。
昔のPCやFCのアドベンチャーゲームにおいて悪名高い、クリックすべき箇所のドット単位の緻密な調整さながら、「ここだろ!?」という箇所をあれこれやみくもにポチポチ押しても、なかなか該当の個体を発見できない点が、時間を無為に消費している感じがして、本作の数少ないマイナス面。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/128657590/picture_pc_4901003539c0e7c809ff0c5d1fb7b104.png?width=1200)
最後に行うのが撤退戦:立つ鳥跡を濁さず。いままで設置したすべての施設や設備を回収し、人間が手を入れた痕跡をすべて無くすということ。装置一つジャングルの奥地ほか死角となったエリアに残していたせいで、その回収のためのモノレールやヘリポートの大掛かりな敷設を、泣く泣く行う羽目になるのは、本ゲームの繰り返しのプレイにおいて、よくあること。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/128657606/picture_pc_344a6e1d13042145204a28f041a38e9d.png?width=1200)
左上に表示された赤いボタンを押せば、プレイヤーを乗せた船はこの地を脱出。無事にそのステージはクリアとなる。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/128657617/picture_pc_728b22b7aec01849296ed857a018520b.png?width=1200)
昔懐かしNHK教育の番組『生きもの地球紀行』の3代目エンディングテーマ『BELIEVE』(ビリーヴ)を脳内再生しながら、クリアの余韻に浸ると良いだろう。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/128657620/picture_pc_58c7f72f7d4632279b6a49a826cec207.png?width=1200)
とまあ、このようにして、様々な環境の星で、提示された課題をクリアし、次のエリアに進む。全4つのエリアをクリアすると、ひとまずのエンディングだ。初回(つまり最初の4エリアクリア時点)で「再生の進行状況:100%」を達成すると感動もひとしお。ただし最終ステージには、こと日本人にとって心臓に悪いギミックが仕込まれている模様。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/128657629/picture_pc_6c8b08537515e6c9024c90c75c7fa01d.png?width=1200)
結論。刻一刻と変化していく状況を見極めて、大気や文明のエネルギー配分などを調整しなければならず、適度な緊張感がある。
作りこみが見事だからこそ、惜しい面もある。ずばり、シムアースでいうフリーモード:目標やEDはなく、一から自由に生態系を作ることができるモードがないという一点だ。それはシムアースでやれ、というの話なのだろうが。
Copyright Free Lives. All Rights Reserved.
いいなと思ったら応援しよう!
![ドント・ウォーリー](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/15855897/profile_873ae2973c7bea4785b4e985586a30d5.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)