ピーター・フォンダとデニス・ホッパーの二人旅だと思っていたら、三人目にジャック・ニコルソンがいることをすっかり忘れていたよ。髪がふさふさなのがかえって不気味。
と驚くこと間違いなし「イージー・ライダー」より。
2人のバイカー(前述の通り、途中3人に増える)がアメリカ中をバイクで旅する様子を追いかける、アメリカ西部から南部にかけての道中でさまざまな人々と出会い文化的な対立や価値観の違いに直面する、アメリカの反文化運動やヒッピー文化、モーターサイクルカルチャーを描いている、60年代アメリカ・インディペンデント映画の金字塔…
と書けばカッコいいが、基本的にダルダルな作品。だが面白い。
さて、カッコいい台詞は、夜は道脇の野宿、3人で囲む焚き火のシーンに集中していると思う。ウィリアム "ビリー" ケイン(デニス・ホッパー)とワイアット "キャプテン・アメリカ"(ピーター・フォンダ)は南部の排他的な風土、および自分たちの扱われ方に戸惑っている。その不安を吐露したところ、論理的に分析してみるのが、途中から付いてきたさすがはインテリ:若い弁護士ハンセン(ジャック・ニコルソン)。 以下引用。
太字で示す台詞こそ、本作のメイン・テーマの象徴。
さて、このハンセンも完全潔癖なクレバーな人間かといえば、そんなはずはない。だって演じているのがジャック・ニコルソンだよ?
ウィリアムとワイアットが麻薬で金を稼いではラリる厄介な人種とするならば、ハンセンは陰謀論という脳内麻薬をキメているさらに厄介な人種。
以下、ハンセンが真顔で陰謀論を垂れ流すシーンより引用。内容は当時はやりのUFO(未確認飛行物体)。
ともあれ、このハンソンの熱弁、記憶にない方が多いのも当然。こう語った夜の就寝中に、南部の奴らにおやじ狩りされ、ハンソンは無事死亡するのだから。
まともな方の人間から死んでいく。
まともじゃない二人:ウィリアムとワイアットは、ハンソンの死体を寝袋に包んで、彼の家族の元に亡骸を返すことを誓う。2人はこの後待ち受ける自分自身の運命を知ることなく、夜明けにバイクを走らせる。