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映画の名セリフ、、引いてみた。

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甘い言葉がある。辛い言葉がある。英語だとわかるニュアンス、日本語の方が腑に落ちやすいフレーズもある。 そんな映画の英語の名セリフを、拙訳と共に引いてみる。 目標は和田誠の「お楽し…
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#ノワール

「もう何も手に入らない。」「手遅れよ。」"Touch of Evil"(1958)

1956年型の フォード・フェアレーン(Ford Fairlane)に仕掛けられた爆弾が爆発するまでを、ワンショット・ワンシークエンスで見せつける冒頭の驚くべきクレーン撮影のつかみから始まる、オーソン・ウェルズがハリウッドで撮った最後の映画「黒い罠」(原題:Touch of Evil)より。 天才ウェルズが手掛けたこともあってか、クロバティックな長回し撮影、極端なキャメラ・アングルほかバロック趣味が刻印された異色のフィルム・ノワール、「最後の」フィルム・ノワールという伝説が

“神様は見守ってくれますからね。” The Night of the Hunter”(1955)

童話とは本来残酷なもの。そして不気味なものだ。ヘンゼルとグレーテルは暗黒の不気味な夜の森を彷徨い歩く。 『狩人の夜』は、まさにその暗いイメージに充ちている、悪夢のような童話だ。 天を仰ぐこの男、男は右手に”LOVE”、左手に”HATE"と刺青をしている。未亡人を殺しては、「主よ、次もまた未亡人ですか」と天に向かって語る偽伝道師だ。 偽伝道師ハリー(演:ロバート・ミッチャム)は、獄中で居合わせた男ベンから、強盗殺人で得た大金を隠した話を聞く。 「大金の在り処は子供たちが知っ