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花に嵐の映画もあるぞ(邦画編)。

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わたしの好きな映画を、「褒めること」意識してつらつら書いていきます。 取り上げる映画は、時にニッチだったり、一昔前だったりしますが、 そこは「古いやつでござんす」と許して、ご容赦…
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2024年12月の記事一覧

凄まじい轟音と破壊、血と汗、戦争とゾンビ。塚本晋也監督「野火」。

その作風は凄まじい轟音と破壊、血と汗に彩られ、艶かしく映る血と鉄、細かいカットで自らの意匠を刻み込む、どちらかというと「シン・ゴジラ」はじめとして役者としての活躍が有名な?塚本晋也監督。 そんな塚本晋也がメジャーな観客にも膾炙した2015年の映画「野火」を紹介。もう10年前、戦後70年の映画なので、忘れている人も多いだろう。 同じ原作を取り上げた市川崑監督のそれが、感情やエモーションからは距離を置いて、日本人の集団主義の顔を被った超個人主義の本質をついているのに対し、こちら

もう10年前、初めての大林マジックの洗礼。「この空の花 長岡花火物語」

巡るめく映像詩に情感たっぷりの音楽。センチメンタルで叙情的で全ての要素が過剰なまでに観客に迫ってくる。からこそ、好きな人はトコトンまで愛し、嫌いな人は徹底的に嫌う。 尾道旧・新三部作を経て、大林監督は晩年尾道を離れ、他の町を舞台にして、懐かしい思い出を描き続けた。その一つ、空襲・東日本大震災・中越地震を関連づけて、「今あるもの」と「今ないもの」との記憶を重ねた2012年の映画「この空の花 長岡花火物語」を紹介。 幕末維新の内戦、北越戊辰戦争によってほぼ全市街焦土と化したが、