読んだ本 母影 もうひとつ
しばらく時間があいて、思ったこと。
物語は最後、大丈夫、であった。大丈夫、になった。
大丈夫、にしたんだと思った。
今でこそ「わたしの見たい」尾崎世界観なんだけれど、そういえば暴力的なものをつくる人であった。昔の歌はそういう部分が心地よかったし、ピンクソーダを読んだときには狼狽えた。
尾崎世界観には常々、女性には敵わないなぁ、という思いがあるそうで、その思いに下支えされている作品も少なくない。
母影の母子にも、そうあってほしかったのではないか。
どこにも行かないどこにも行けない二人の世界で、あの女たちには大丈夫でいてほしかったのではないか。
書けないけど読めるものを書けるようになったのは、広がり。ほの明い、けれども消えきらない哀しみ。
書評でも感想でもない、ただの日記。
敵わないなぁ、と思ってもらえるような女性には到底なれない人間の、多分これは嫉妬。