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同じおもちゃでも下の子には上の子より多少早い時期に与えるとよい
子どもが2人、3人と増えてくると、最初の子のときは暗中模索だったお母さんも、かなり経験をつみ自信もついてきます。
しかし、もしかすると、上の子のときの経験を、そのまま下の子に杓子定規に当てはめようとしてはいないでしょうか。童具の与え方について言えば、たとえば兄も5歳のときにこの童具で喜んで遊んだから、弟にも5歳になったらこの童具を与えてやろうと考える傾向はないでしょうか。
もちろん、人間すべて個人差があります。個人差に加えて、兄や姉がいる場合の弟、妹には、兄や姉と同じには考えないほうがいいという、もう一つの理由があります。
幼児教育の研究家たちは、「兄や姉が何かをやっている時は、どんなに幼くてもいいから、できるだけ弟や妹をそばにおいてやってください」と声をそろえて言っています。これは音楽にしても語学にしても、兄や姉が習得するのを見ているだけで、弟や妹にも音楽や語学の下地が知らず知らずのうちにできてくるからだといいます。
心理学に「潜在学習(latent learning)」という言葉があります。ネズミを使った迷路学習の実験で、エサを与えずに迷路の中をあちらこちらと歩かせておいたネズミは、目的地にエサをおいた場合、はじめて迷路に入れたネズミより迷路の学習が早い、つまり早くエサにたどりつくと言っています。エサという目的がなかった迷路の中の一見意味のない散歩中にも、このネズミの頭の中では、目的地にたどりつくための潜在的な学習が進行していたというわけです。
兄や姉のいる子どもたちは、これと同じように、日常生活の中で兄や姉の言動から様々な学習をしていきます。いちばん上の子より、2番目、3番目の子どもの方が、いわゆる“おませ”になるのもこのためでしょう。したがって、ごく一般的に言えば、弟や妹を、兄や姉の年齢発達の尺度にしてみると、いささかのずれが生じます。現実にも、上の子といっしょに遊ぶ中で、下の子は上の子よりずっと早く様々な童具や遊びに接していきます。
こうした事情を考えれば、兄や姉の時の経験から童具を与える年齢を杓子定規に決めるよりは、半年なり一年ぐらいは早めに与える方がむしろ現実にあっていると言えます。というよりも、親がこう考える前に、すでに子どもの方から早め早めに要求が出てくるに違いありません。