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モノノメ #2 について、いま言えるすべてのこと
■クラファンのお礼:921人の支援、4893584円(達成率326%)ありがとうございました!
宇野です。校了でバタバタしていて、すっかりご無沙汰してしまいました。さて、この1ヶ月は本当に忙しかったのですが、何をやっていたというかというと、昨日クラウドファンディングを終えた「モノノメ #2」の編集作業です(そしてまだ終わっていない)。
クラウドファンディングは支援者921人、支援総額4893584円(達成率326%)という、結果でした。はっきり言って、予想以上というか、これで一息つけるとホッとしています。この第2号は前号以上に広告が入らなくて、泣きそうになりながら編集していたのですが、これでどうにか一息つけそうです。もちろん、このあと何千部か売っていかないと続けられないので、まったく気を抜けません。そして、売っていくためには中身を最高のものにしないといけない。そう思って全力でやっています。
■「モノノメ #2」はこんな雑誌
さて、今日はここで改めて、「モノノメ #2」の内容について紹介したいと思います。
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・特集「身体の現在」
まず特集は「身体論」です。僕たちはずっと身体を社会の側に合わせてきたのだけれど、現在僕たちは身体の側に社会を合わせようとしています。その一方で、僕たちはサイバースペースの中の社会的な身体(アカウント)をプラットフォームの指定する通りにどんどん画一化していっています。こうして、僕たちの身体(多様性を擁護するバリアフリー社会に受容される)と精神(SNSの相互評価ゲームに参加する/させられる)との分裂が顕著になっていると僕は考えているのだけど、こうした「身体」を巡る環境を、多方面から考察したのがこの特集です。ケア、サイボーグ、マインドフルネス、被服、舞踏、そして宗教……。多様性や政治的な正しさをどう社会に実装するか、という観点を大事にしたまま、それだけに留まらない視点を提供できた特集だと思っています。
田中みゆきさんを中心に、ケアとサイボーグ、二つの身体へのアプローチの架橋を試みた基調座談会、遠藤謙×落合陽一×乙武洋匡による「乙武さんを歩かせる」義足プロジェクトについての鼎談、藤嶋陽子さんによる「被服と身体」についての論考など、どれも「モノノメ」でしかできない切り口になっているはずです。
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(その他の特集記事)
[論考]藤井修平|マインドフルネスの身体技法はいかに受容されてきたか──仏教と心理学の関わりの歴史から考える
[インタビュー]上妻世海|制作する身体をめぐって──運と誘惑と戯れながら
[対談]「もうひとつの眼」と「もうひとつの身体」はどう出会ったか|飯田将茂×最上和子
[座談会]消極的な人よ、身体を解放せよ──いや、そもそも身体なんていらない?(仮)|消極性研究会
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・寄稿文「観光しない京都2022」
巻頭の寄稿文は「観光しない京都2022」と題して、僕がかつて暮らしていた(そして、仕事でもよく出張していた)京都の「暮らす」場所としての魅力について、「ハレ」ではなく「ケ」の京都の魅力をまさに「暮らすような旅」の記録として綴りました。
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・[ルポルタージュ]「ムジナの庭」では何が起きているのか
今回の目玉記事の一つです。東京・小金井にある就労支援施設「ムジナの庭」。ここでは植物に触れること、手仕事をすること、人と触れ合い感情を表現することをつなげた心身のケアのプログラムが実践されています。このユニークな試みが行われる場所に編集部が実際に足を運び、一緒に手を動かしながら、主宰の鞍田愛希子さんと、パートナーの哲学者・鞍田崇さんにじっくり話をうかがいました。
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・鼎談『ドライブ・マイ・カー』をめぐって
特集外では、『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督、コルクの佐渡島庸平さんと僕との三人で、劇映画という表現の現在についてとことん語り合った鼎談がまず目を引くと思います。これは収録は昨年で、当時はまさか『ドライブ・マイ・カー』このような快進撃があるとは思っていませんでした。多言語で、多様性に配慮し男性性を反省した「政治的に正しい」物語であるーーという次元からはかなり離れた、劇映画という少し古くなり始めた表現の課題をどう再発見するかというスリリングなやりとりになっています。個人的にも、得るものの大きな対話でした。
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・特別企画「47都道府県再編計画」
個人的に力を入れたのが「47都道府県再編計画」です。道州制とセットで何度も議論されてきたこのテーマをあえて取り上げることで、いまの地方の抱える問題をまるごと浮き彫りにすることを目的にしています。いくつかの都道府県(地方)については実際の再編シミュレーションを掲載しています。これは、なかなか手応えがあったので(そして単純に面白い!)可能なら次号以降でも展開できればと思っています!
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・「水曜日は働かない」
僕がかねてより主張している「水曜日は働かない」こと。これはいま、コロナ禍に後押し(?)された週休3日制導入の流れでにわかに現実化しつつあります。そこで、今回はある種の妄想企画として、実際に「水曜日は働かない」ことにしたらどうなるかを、いろいろな職場に勤める仲間たちと座談会形式で考えてみました。
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・小川未明(作)+久保田寛子(版画)「眠い町」
今回の隠し球です。大正、昭和に活躍した児童文学作家・小川未明の短編『眠い町』を、イラストレーターの久保田寛子さんの版画でお届けします。短くて、そして二重に救いのない結末に思わず「えっ」となるような物語ですが、その不条理な世界観や、小説の根底に流れる悪意と悲しみのいじり混じったようなものを、久保田さんの版画がどう表現しているのかを楽しんでください。
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・吉田尚記|現役アナウンサーがその目で見た #TOKYO2020
強行開催され、巨大な茶番として記憶される二度目の東京オリンピックーーメディア上の罵倒の応酬と政治的な駆け引きが注目を集める一方で、その「現場」では何が起きていたのか。ニッポン放送の取材担当としてのべ59会場に足を運んだよっぴーこと吉田尚記アナウンサーが「その目」で見たオリンピックの姿を、きちんと遺して欲しいと僕は彼に依頼して、そしてルポルタージュ形式で綴ってもらいました。あの夏の、消せない、そして貴重な記録です。
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・連載について
福嶋亮太『世界文学の制作』では第2回は小説における「指し示す」という行為についての考察が展開します。沖本ゆか+丸若裕俊『もののものがたり』は、自在 猿山と唐津焼の器を、「絵本の話は長ながくなる」はロボットクリエイターの近藤那央さんが『おばけびょうきになる』『ウアモウとふしぎのわくせい』を取り上げます。僕の担当する『おいしいものにはわけがある』は、巻頭の寄稿文と連動して京都市のお好み焼き屋さん「ジャンボ」を訪ねました。僕の趣味の世界を紹介する『ひとりあそびの(おとなの)教科書』は、僕が10年近く集めている「東映レトロソフビコレクション」を取り上げます。
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・ランニングフォトエッセイ「走るひとたち」
今回のランニングフォトエッセイはモデルの高山都さんとランニング誌「走るひと」編集長の上田唯人さん、そして僕の3人が、ある冬の日に訪れた、三浦半島でのランの記録です。冬の海と空。一面の大根畑。半島の山と海の「近さ」。そして世界の果てのような場所に佇むコンビニエンス・ストア……。土地と触れたときの感触を、写真とエッセイで伝えられたらと思います。
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■先行予約(通信販売について)
この「モノノメ #2」は現在、僕たちの公式通信販売サイトで予約を受け付けています。
3月13日までに購入してくれると、最速(今のところその数日後)に発送します。
クラウドファンディングほどではないですが、お得な特典(僕の全ページ解説集など)付きのものも用意しています。
この本は流通を絞っているし、創刊号ほど数も刷らないので、速く、確実に、そして特典付きで入手したい人はここから買ってもらえるといいかと思います(ぶっちゃけ、僕たち的にも助かります)。
それでは、校了まで全力で走ります。よろしくお願いします!
※追伸。個人的なノートブック(有料マガジン)は心入れ替えて、明日からバシバシ更新します。購読をよろしくお願いします!
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