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みんな知らない(ほんとの)中東 | 鷹鳥屋明

宇野常寛が火曜日のキャスターを担当する番組「NewsX」(dTVチャンネル・ひかりTVチャンネル+にて放送中)の書き起こしをお届けします。12月4日に放送されたvol.14のテーマは「みんな知らない(ほんとの)中東」。中東アイドルの鷹鳥屋明さんをゲストに迎え、中東の国々の知られざる日本文化受容の実態、そして、距離的にも精神的にも離れた日本との関係をいかにして近づけていくかについて語り合います。(構成:籔 和馬)

NewsX vol.14
「みんな知らない(ほんとの)中東」

2018年12月4日放送
ゲスト:鷹鳥屋明(中東アイドル)
アシスタント:加藤るみ(タレント)

郷に入っては郷に従え〜現地の民族衣装を着こなす中東の日本人スター〜

加藤 News X火曜日、今日のゲストは中東アイドル、鷹鳥屋明さんです。まず宇野さんと鷹鳥屋さんが知り合ったきっかけを教えていただけますか?

宇野 僕らの共通の友人に橘宏樹という某省の官僚がいるんですよ。彼がNPOをやっていて、鷹鳥屋さんは彼のNPOの仲間なんですよ。僕は彼とずっと仲がよくて、ある日「宇野くんに紹介したい男がいる。絶対PLANETSに出てもらった方がいいと思うよ」と彼に言われて、高田馬場のルノアールで誰が来るんだろうと待っていたら、中東の民族衣装姿の鷹鳥屋さんが現れた。

加藤 宇野さんは、中東の民族衣装で来られたことにびっくりしませんでしたか?

宇野 中東でタレント活動をやっていて、いろいろな日本の商品を売り込んだり、クールジャパンに関わっている話は聞いていたんだよ。でも、まさか中東の民族衣装で来るとは思っていなかった。

鷹鳥屋 日常着として、週3〜4回は着ていますね。

加藤 今日のトークテーマは「みんな知らない(ほんとの)中東」です。

宇野 鷹鳥屋さんは個人的にタレント活動をやっているんだよね。鷹鳥屋さんのその活動を今うちのメールマガジンで連載していただいていて、1〜2ヶ月に1回いろんなレポートなどが載っているんだよ。それを読んでいると、テレビや新聞や政府系の広報などの、表に出ている情報ではわからない本当の中東の姿や日常が、個人の視線だからこそすごく伝わってくる。それをこの番組でもお話ししてもらったらおもしろいかなと思ってお呼びしました。

鷹鳥屋さんの連載はこちら
鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」

鷹鳥屋 最初のきっかけは、外務省のプロジェクトでサウジアラビアに派遣されたんですよね。サウジアラビアで高校時代を過ごしていた人から「サウジいいよ」と言われていたので、それで外務省のプロジェクトに申し込んだら受かって、行ってみたら「素晴らしい、来てよかった」と思ったんです。

宇野 サウジアラビアのどのあたりがよかったんですか?

鷹鳥屋 実は私は酒を全然飲めない体質なんですよ。日本社会では「酒は飲め飲め力水」とか「飲まないと受注はないよ」と飲むことこそが正義、と考えられていました。そういった風土が中東にはなくて、「お前はアルコールが飲めない人間なのか。素晴らしい」と褒められたのは人生で初めての経験だったんですよ。それが「この地域いいじゃん」となった最初の起点なんですね。

加藤 そこから興味を持って行ったんですよね?

鷹鳥屋 いや、中東に行ってから、民族衣装のセットをリヤドの市役所で買ったんです。中東が好きだというのをわかりやすく表現する日本人がいままでいなかったんですよ。だから、現地の民族衣装を着れば、中東に対する好意を表せるんじゃないかと当時思ったんです。それで民族衣装をキレイに着たんですよね。そうしたらアラブ人たちがみんな驚いて「民族衣装をオレよりもキレイに着こなしている」とか言われました。実はむこうでは若い人だと、スーツや普通のカジュアルな格好を着ている人が増えています。だから、その中で現地の民族衣装をちゃんと着こなしている外国人がいると良い印象になっちゃうんですね。それでいろんなパーティーに呼ばれて、「こんな日本人がいる」と取り上げられているうちに、ある中東で有名な方から「あなたはSNSを始めたほうがいい」と言われて始めてみたら通知が止まらなくなるくらいフォロワーがついたんです。

加藤 反響がすごかったんですね。

鷹鳥屋 1〜2週間でフォロワーが2000〜3000人ぐらいになりました。今ではインスタのフォロワーは7万人ぐらいで、ツイッターのフォロワーは2万〜3万人ぐらいになっています。

宇野 きっかけになった投稿はあったんですか?

鷹鳥屋 今から4〜5年ぐらい前に、東京で大雪がすごく降ったときがあったんですね。あのときに、私が浅草の仲見世通の雪が積もったところをキレイに板で固めてスケートリンクみたいにしたんです。そこを中東の民族衣装を着て全力疾走をして遊んでいたんですね。そうしたら、その動画がむちゃくちゃバズったんです。それが起点ですね。

宇野 そこから中東諸国で注目を浴びるようになって、タレント活動が始まっていくんですか?

鷹鳥屋 そうですね。やっぱり日本と中東の文化を混ぜて説明するところに力を入れてやっていて、中東の民族衣装で日本を歩くのは中東の人からしたら考えられないことだったんですね。それを徹底してやった日本人として取り上げられたんだと思います。

宇野 むこうのテレビなどにも出ているんですよね?

鷹鳥屋 ほぼメインのテレビ局は出ましたね。アル・アラビーヤもアルジャジーラもMBCも出ました。ウェブ媒体だと、ザ・ナショナルやハリージタイムズなどの大手メディアにはほとんど出ていますね。

宇野 そこでどういうことをやっているんですか?

鷹鳥屋 日本文化の紹介をしています。

加藤 鷹鳥屋さん以外にも中東アイドルと名乗られている方はいらっしゃるんですか?

鷹鳥屋 中東アイドルという名前じゃないかもしれませんけど、実は徐々に増えてきていて、各国ごとにいるんですよ。

加藤 鷹鳥屋さんはどこの国の担当ですか?

鷹鳥屋 私はサウジアラビアと、あとはクウェート、バーレーンなどを担当しています。各国にいる方々皆さんと連携をとっています。

宇野 ちなみに今来ている服はどこの国のものですか?

鷹鳥屋 これはサウジコーデですね。ボタンが二つあるところが、サウジアラビアの特徴ですね。ボタンが一つになったらクウェートになります。頭に被る装身具は赤白のものが、サウジやバーレーンやカタールに多い。国ごとで衣装が全然違うんですよ。衣装の組み合わせを見ると、どこの国のどこの民族の人なのかという察しがつくんですが、それをとことん突き詰めた日本人はいなかったんですね。

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