夜はともだち【詩】
夜は友だち。
ぼくの街の橙色の常夜灯が星空に背伸びするころ、ぼくはようやく重い腰をあげる。それまでは眠ったようにただ起きている。だけ。
彼らがやってくる。
寂しがりやたちの、騒がしい夜が待っている。
隣人さんは森の中でその羽を休め、戦士の休息をとる。ぼくは暴力は嫌いだが、かれらのことは嫌いじゃない。息を吸う。新鮮な冷やされた夜の空気に目が覚める、すると美しい皿のような三日月が浮かんでいた。
白猫のリリィが青い目を、アルビノの赤で染める。
それは魔法だ。いのちのきらめき。
こんな日は海が見たくなる。その大きくどこまでも広い母性がぼくを許してくれる。さあ、買い出しに出かけよう。バニラのお香は焚いたままで、キャメルのタバコに火をつけて部屋を出る。
近所のスーパーで夜を越えるためのお菓子と美酒を。
部屋に戻り、キーボードをたたくと、ほら、かれらの足音。
「おつかれ」
こうして今日も「夜韻」ははじまる。
ここにくるひとはみんな友だち。
これを読んでくれた君も。
さあ、80年代のポップスのリミックスでもかけながら、乾杯の合図だ。
夜は友だち。
ぼくのたいせつな日々に花束を。
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