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湧澄嶺衣
2024年6月27日 04:23
境界の守護者 去年の夏、私は不思議な体験をした。その時の記憶は今も鮮明に残っている。 日常の喧騒から逃れるため、私は旅に出ることにした。行き先は、人里離れた山奥の小さな村。都心部の喧騒とは対照的な静寂が広がるその場所で、私は自分の好きな読書をしたり写真の撮影を楽しむつもりだった。 その村には、古くからの伝承がある森があった。地元の人々はその森を『禁じられた森』と呼び、決して近づかないよ