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【短編】異界の森

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異界の森 五 結

異界の森 五 結

新たなる冒険

 大いなる脅威を退けてから数ヶ月が過ぎ、森の中での日常が再び穏やかに流れ始めていた。私は日々のパトロールや瞑想を続けながら、森の生態系と深く結びついていた。しかし、その平穏な日々の中で、私は新たな謎に直面することになった。

 ある日の早朝、私は森の奥深くで不思議な光景を目にした。いつもは静かに佇む古代の大木の周りに、見慣れないシンボルが刻まれていた。それは、まるで何かを示す地図の

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異界の森 四

異界の森 四

守護者の戦い

 この森の守護者としての日々が過ぎ、私の生活は森と共に穏やかに流れていた。しかし、その静けさはある日、突然打ち破られた。私は異世界からの大いなる脅威が迫っていることを感じ取った。森のエネルギーが不安定になり、風の音もざわめき始めたのだ。

 その夜、老人が私の小屋を訪れた。彼の顔には深い憂慮が刻まれていた。

「今夜、異世界からの大いなる脅威が現れる。君は準備ができているか?」

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異界の森 三

異界の森 三

守護者の生活

 異世界との境界線を守るための訓練を終え、私は森の守護者としての役割を果たし始めた。森の中での生活は、新宿の喧騒とは全く異なる静寂と調和に満ちていた。ここでの生活は毎日が新しい発見と挑戦に満ちており、その一日一日が私を強くし、知恵を授けてくれた。

 朝、目覚めると、私はまず森の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。ひんやりとした空気には草木の香りが混ざり合い、心地よい清涼感が広がる。日の

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異界の森 ニ

異界の森 ニ

境界の守護者の訓練

 森の境界線を越え、守護者としての使命を受け入れた私は、老人から異世界との境界線を守るための訓練を受けることとなった。初めて異界の地に足を踏み入れた時の驚きと興奮は今も忘れられない。あの時から、私の人生は激変したのだ。

 老人は私を森の奥にある隠れ家へと導いた。そこは古代の石造りの建物で、壁には複雑な模様が刻まれていた。老人は「ここが訓練の場だ」と説明した。

 最初の訓練

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異界の森 一

異界の森 一

境界の守護者

 去年の夏、私は不思議な体験をした。その時の記憶は今も鮮明に残っている。

 日常の喧騒から逃れるため、私は旅に出ることにした。行き先は、人里離れた山奥の小さな村。都心部の喧騒とは対照的な静寂が広がるその場所で、私は自分の好きな読書をしたり写真の撮影を楽しむつもりだった。

 その村には、古くからの伝承がある森があった。地元の人々はその森を『禁じられた森』と呼び、決して近づかないよ

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