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里道を辿ること
自転車で里道を辿るのは素晴らしい体験だ。
とりわけランドナーのような、中低速で安定して走れるスケルトンで、多少の路面の凹凸にはあまり神経質にならなくていい空気量の多いタイヤを備えた自転車には。
速度を出す必要もないし、速度がメリットになるところでもない里道は、速度を問題としない自転車にとっては実にいいゲレンデなのだ。
もともとゆっくり走るから、一時停止や徐行もほとんど気にならない。
それに何より、ランドナーは里道によく似合う。
絵になるのだ。
フランス起源の自転車なのに、わが国の伝統的な建築やもっと素朴な民家の佇まいにもよく調和する。
里道は、古くから人の営みがあり、しかし、街道筋の賑やかさから多少遠いところにある。
それゆえに鄙びていて、素朴で、静かである。
現代の国道や幹線道が持っている特質である、高速で大量の交通、利便性と効率性とはまったく方向が違う。
里道は、里の道だ。人が静かに生きる世界の傍らにある。
里道は、旧い街道筋である旧道にどこかでつながっているとともに、里道からさらにローカルな世界へと、路地でつながっている。
里道は素晴らしい。
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