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とても若い友人が製作したフレーム

最近自転車の専門学校を卒業した、若い友人(21歳)のS君が製作したフレームが素晴らしい出来だったので、ご紹介する。

はじめにお断りしておくが、このフレームはフレームサイズ300mmくらいで、実際に使用できるものではない。しかし、各ロウ付けの箇所は通常サイズのフレーム同様に美しくかつ頑丈に仕上げられている。いわばロウ付けとその仕上げを見せるためのコンセプト・フレームのようなものだ。

だからシートチューブ後方にもシートピンの台座や、ピラーを締め付けるための切り欠きもない。言われないとなかなか気づかないと思うけどね。

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フレーム製作の見せ場の一つであるBB回りも見事なものだ。真鍮ロウが、チューブとBBという厚みの異なる素材を強固に一体化しているのが見てとれる。

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上はチェーンホイール側から見た画像。クロモリフレームの金属としての美的プレゼンスがよくわかる。そう言ってはなんだが、炭ものにここまでの存在感はない。

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この角度から見ると、この作品がコンセプト・フレームであることが分かるだろう。シートステイがやけに太く見えるからね(笑)。

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ブリッジ部分も芸が細かい。短いはずなのにカーブの美しさに思わず唸りたくなる。

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エンドには肉抜きが施されている。シートステイとチェーンステイがエンドに接合される部分は、人間で言えば「足首」のようなものだ。ここをどうやって仕上げるかにセンスが現れる。素晴らしい。

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最後の画像は、別のコンセプト・フレームのカットモデルだ。真鍮ロウがどうやって素材と素材を接合させているかが分かる。

S君のフレームは基本的にはロードバイクのものだが、今後はスポルティフやランドナーの領域にもぜひ踏み込んでもらいたいものだ。

私が彼に作ってもらいたいのは、輪行に特化したランドナーなのだ。その日が来るのが待ち遠しい。

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白鳥和也/自転車文学研究室
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