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【新神戸アート探訪】デ・キリコ、横尾忠則、他。

連休最後の日に新神戸へ。有馬温泉が元々の目的なのですが、都内でやっていたときには行けなかったデ・キリコ展が神戸市立博物館でやっているとのことで行くことに。また、横尾忠則さんの美術館もあるとのことなので行くことにしました。
有馬温泉に行くのは初めてです。新神戸は、演奏のお仕事でにっぽん丸に乗船したときに降りましたが、そのときはそのまま新幹線で帰ってしまったので、こちらもほぼ初めてと言って差し支えないと思います。
お昼に着いてまずは腹ごしらえということで、1924年に神戸で創業したフロインドリーブ生田店で昼食をすることに。なんと今年で100周年とのこと。

フロインドリーブ生田店の外観

お店のホームページによると1995年の震災の影響で、元々のお店が修復後も15度傾いていたらしく、1999年に旧神戸ユニオン教会を買い取り移転、現在に至るそうです。サンドイッチが有名らしいのですが、大人気らしく、結局50分ほど待ちました(普段ならどちらかといいますと「待つなら入らない派」なのですが、今回は折角の旅行中なので )。

ようやく入って、ペッパーハム&チーズサンドウィッチを頼みましたが、これが人気らしく、もうないとのことなのでBLTサンドを頼みました(スープとドリンクのセットにしました)。
元々教会ということもあり天井が高く開放感があります。カフェスペースはおそらく元々礼拝堂だったと思うのですが、そのスペース、入るまでは一階にあるのだろうと勝手に思っていましたが、なんと二階にあるのでした(一階にはお菓子などを売っているテイクアウトのお店がありました)。

床も良い感じです
こちらがBLTサンド
コースターがかわいいです

BLTサンドもスープ(コーンスープ)も美味しくいただきました。ちなみにスープ・ドリンクセットを頼みますと、100周年記念にクッキーをいただけました。

さて、腹ごしらえも出来たところで、神戸市博物館へ。フロインドリーブから大通りに出ると加納町3丁目というバス停留所があったので、そこから三宮神社前行きのバスに乗りました。終点の三宮神社前で降りました。大丸などがありまして栄えています。そこから5、6分歩きますと正面玄関が見えてきます。

と思ったら、建物の裏側でした。右に曲がり反対側へとまわります。

こちらが表側です。

デ・キリコはうちに作品のポスターがあるので、展覧会にかつて行ったことはあると思うのですが、いつだったか思い出せません。まあ、おそらく20年くらい前だったのだと思います。と書いていましたら、大学院時代に作曲家の湯浅先生がゼミでデ・キリコの話をしていたのを思い出しました。そのときに既にデ・キリコの展覧会には行っていたと思うので、そうなると学生時代ですから、30年前ということになります。月日が経つのは本当に早いものです。

自分としては、この展示を見る前までは、「デ・キリコはいわゆる形而上的な作品から、自画像に見られるような具象に行ったんじゃなかったっけ?」なんていう頭だったのですが、そう単純ではなかったいうことを今回の展覧会を通じて知ることとなります。自分は大学では作曲を学んでいたので、同じ時代の作曲家のストラヴィンスキー(デ・キリコとも交流があった)が前衛的な作品を発表した後で、段々と古典回帰するようになっていくというようなことが念頭にあって、そのようなこととデ・キリコとを結びつけていたのだと思います。
様々な作品がテーマ別に並んでいまして、「自画像」というテーマからのスタートでした。
作品によっては写真撮影可能なものもありまして、一部こちらにも載せさせていただきます。

デ・キリコ「17世紀の衣装をまとった公園での自画像」1951
デ・キリコ「球体とビスケットのある形而上的室内」1971
デ・キリコ「孤独のハーモニー」1976
デ・キリコ「予言者」1914-15
デ・キリコ「形而上的なミューズたち」1918
デ・キリコ「オデュッセウスの帰還」1968

「南の歌」という作品(こちら、写真撮影不可でしたので画集からの画像です)は、ルノワールに着想を得ている作品だそうです。ルノワールとデ・キリコが自分の中で全く結びついていなかったのですが、言われてみるとなるほど、筆のタッチがルノワールそのもののように思えます。

デ・キリコ「南の歌」1930年頃

この作品を昔見た記憶がなかったので、もしかしたら、自分がかつて行った展覧会はそもそもデ・キリコの展覧会というよりは、その時代のアーティストの作品を集めたものだったのかもしれません(あるいは完全に忘れているだけかもしれませんが^^;)。他には「戦闘(剣闘士)」という作品を見て、横尾忠則さんの作品を思い出しました(こちらも画集からの転載です。関係ないですが、右側に立っている人物が自分には横尾さんに見えるという…笑)。

デ・キリコ「戦闘(剣闘士)」1928-29

どのセクションもなかなか見応えがありました。
思っていたよりも、結構展示数がありました。

こちらはロビーに飾られていました

結構時間が経ってしまいましたが、予定通り横尾忠則現代美術館に行くことにしました。
博物館から10分ほど歩いて市役所前という停留所から、上筒井1丁目という美術館近くの停留所までバスで行きました。
停留所を降りてしばらく歩くと斜め向かい側に美術館が見えてきました。

企画展のタイトルは「レクイエム 猫と肖像と一人の画家」です。「肖像」の部屋と「猫」の部屋がフロア別で展示されています。
「肖像」の部屋は、横尾さんと付き合いのあった錚々たる人々(故人)に関わる作品が写真とともに展示されています(この部屋は撮影は不可でした)。
若い頃に読んだ横尾さんの「ARTのパワースポット(筑摩書房)」は本当に面白く、しかも美術のみならず、音楽や映画、文学についてもいろいろと知ることができるうえ、横尾さん自身の(少しとぼけたところも含めて)考え方から確かに得られるものもあって、そしてとにかく元気をもらえる、そんな本でした。その本に出てくる方々も「肖像」の部屋で紹介されていますが、本でもこの部屋でも印象深かったのは三島由紀夫です。自分にとっての三島由紀夫像は、この本での印象がとても強いのですが、作品を見ていて、その本に載っていた三島さんと横尾さんのやり取りを思い出しながら作品を眺めました。
「猫」の部屋では、かつて一緒に暮らしていたタマに関連する作品や写真、スケッチや日記などが展示されていました。
横尾さんの作品を観ていると、美術館のホームページにもその文言がありましたが、彼岸と此岸を行き来しているような感覚になります。

この他同時開催でこの展覧会と連動してアンディ・ウォーホルを特集していました(コレクションギャラリーでの展示)。
横尾さん所蔵のウォーホル作品の他、横尾さんがウォーホルを描いた作品が展示されていました。

コレクションギャラリーと同じフロアのキュミラズム・トゥ・アオタニという部屋。窓から外側を見ることができます。鏡ばりのその部屋のあちこちに映った自分を見てブライアン・イーノとキングクリムゾンのロバート・フリップのアルバムのジャケットを思い出しました。

全て見終わったらもう閉館時間(17時)となり、美術館を後にしてバスで新神戸駅へ戻りました。有馬温泉には18時過ぎに無事到着しました。新神戸駅から乗り換えも含めて30分かからないぐらいの時間で移動ができるのはありがたいです。
温泉では金泉、銀泉にその日の晩と朝に浸かりました。とても良かったです。

有馬温泉駅
翌朝、散歩しました。この川も実は駅前です。
川岸を歩いているとツユクサが自生していました

翌日は何をするか全く決めていなかったのですが、新神戸駅に移動して昼食をとってから、三宮に移動、結果的にそこから散歩しつつ異人館街を経由して新神戸へ戻る、というルートを辿りました。異人館街にはトリックアートやシャーロック・ホームズの時代を再現した英国館があったので入ってみました。トリックアートはよく記事は見ていましたが、実際に体験すると面白かったです。ホームズは小学校の図書室で読んで以来好きなので、こちらもなかなか良かったです。ホームズというと、自分の中では、NHKで放送していたイギリスのドラマで演じていたジェレミー・ブレットのイメージが強いですが、最近のベネディクト・カンバーバッチのものも面白いと思います。

庭から撮影した英国館

二日間でしたが、新神戸はとても良かったです(もちろん有馬温泉も良かったです)。
駅からすぐに様々な場所にアクセスできるのがとても良いですね。2日間ではありましたが、街並みの雰囲気も良かったです。また来たいと思います。

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