本のBGMとしてのXerrox, Vol. 4
レコーディングのお仕事も落ち着いたので、本をまとめて読んでいます。
一つは『神々の山嶺』。読んでいるのは漫画版の方で、谷口ジローさんが描いています。フランスでアニメ化されたものは観たのですが、漫画版が以前から気になっていて、ようやく読むことができました。原作の夢枕獏さんが熱望しただけのことはあって、谷口さんの物語の描き方は素晴らしいと思いました。舞台となる冬山に自分もいるような気分になります。谷口さんの漫画は『孤独のグルメ』以外にご本人原作の『犬を飼う そして…猫を飼う』、『歩く人』を読んだことはありました。
もう一つ、最近になって知ったpanpanyaさんの『足摺り水族館』を読みましたが、こちらも不思議さと懐かしさが同居している作品で面白かったです。他のものも読んでみたいと思いました。
最近はあまりやっていなかったのですが、久しぶりに音楽を聴きながら本を読みました。数年前まで、例えばSFなどを読むときは、
A Winged Victory for the Sullenの『Atomos』を聴きながら読んでいました。読書の邪魔にならず、むしろ物語に入っていくことができて、そして不思議と自分が読む作品とその音楽がマッチしていたように思います。
今回、前述の2作品を読んでいるときに聴いていたのはalva noto(カールステン・ニコライ)の『Xerrox, Vol. 4』でした。
先の2作品は、当然全く違う作品なのですが、不思議と『Xerrox, Vol. 4』は、両方の作品に合っていたように感じました(もちろん、自分以外の方がそう感じるかどうかはわかりません)。
作品の根底に流れる通奏低音が実はそう遠くはないのかも、なんてことも考えましたが、そのことはさて置き、これまでのalva notoの作品の中では珍しくアンビエント・サウンドなので、彼の新境地なのかな、と思いました。
最もalva noto全てを追っているわけではないですし、他のXerroxシリーズを聴いていないので詳しいことはわからないので新境地と断言はできませんが、ただ、このアルバムで興味深いのは、トラックによっては、それまで彼の作品にはほとんど感じられなかった「メロディ」が彼なりのやり方で存在しているということです。坂本さんへの追悼特集でのインタビューで、坂本さんと活動するようになってメロディを段々と受け入れられるようになり、やがて扱えるようになったという主旨のことを話していたことを思い出しました。
最近まで行っていたレコーディングのお仕事の話を少しだけさせていただきますと、この1か月でオリジナル曲を12曲、アレンジものを9曲ほど制作しまして、10月末に行われたレコーディングも含めれば、オリジナルが計16曲、アレンジものは12曲制作したことになります。和楽器メインのインストものです。
いつ、どのような形でリリースされるのかは、またお知らせできればと思います。