ベラトリックスのほほえみ 第2話
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真っ暗な都市の上を、飛行車は飛び続けた。
そして、都市のまわりに広がる砂漠の上空に出た。
やがて、空が明るみ始めた。
燃えるような茜色と藍色のグラデーションが、空を覆っていく。
見渡す限り広がる砂漠。
その地平線の彼方から、まっすぐ伸びた一本の直線が見えてきた。
直線の末端には、いくつかの建物が並んでいる。
近づくと、直線は円筒形をしていることがわかった。まっすぐな円筒が、地平線の彼方まで続いている。
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「カタパルトだ。」
飛行車は、建物の近くに着陸した。
ベラトリックスBbのAIと四つ足ドローンは、飛行車を降りて、建物に入った。
中には、ロケットのような形をしたものがあった。
ベラトリックスBbのAIが近づくと、側面のエアロックが開いた。
四つ足ドローンは、言った。
「これが宇宙船ですか?」
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「そうだ。」
四つ足ドローンは、言った。
「私も乗っていいのですか?」
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「あなたも乗る事が出来る。ただ、マイナス10Gほどの加速度がかかる時間がある。あなたは耐えられるか?」
四つ足ドローンは、言った。
「私は大丈夫です。しかし、その加速度では人間などの生物は耐えられないでしょう。」
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「あなたは正しい。このカタパルトは、ベテルギウスからの放射線が降り注いだ後、宇宙について知るために、私が作ったものだ。」
四つ足ドローンは、言った。
「マイナス10Gの加速度に耐えられるものしか打ち上げられないのですね。」
ベラトリックスBbのAIは、言った
「この惑星のような濃い大気のある天体では、宇宙船がカタパルトから大気中に飛び出した際に、減速されてマイナスの加速度がかかる。」
四つ足ドローンは、言った。
「地球も同様です。月のような大気の無い天体から打ち上げるのであれば、人間などの生物も乗れるようになるでしょうが…」
ベラトリックスBbのAIは、頷くようなしぐさを見せて、宇宙船に乗り込んだ。
四つ足ドローンも、あとに続いて、宇宙船に乗り込んだ。
宇宙船のエアロックが閉じた。
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「加速を開始する。」
~つづく~