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ベラトリックスのなみだ 第30話
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「時間は限られている。私は、出来るだけ早く地球の人間たちを安全な場所に移動させたい。地球の人間たちは、地下深くに移動することが出来るか?」
四つ足ドローンは、言った。
「50年以内に全ての地球の人間たちが地下深くか深海に移動することは可能でしょう。したがって、地球の人間たちをこの惑星に避難させる必要はありません。」
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「あなたは正しい。地球の人間たちは、地球の地下深くと深海に移動することになるだろう。そして、地球の人間以外の全ての地球の生命も、地下深くと深海に移動させたい。」
四つ足ドローンは、言った。
「地球には無数の生命が存在しています。地球の全ての生命を地下深くと深海に移動させることはきわめて困難でしょう。」
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「私は、全ての生命を守りたい。地球に存在する生命についての情報を得たい。」
四つ足ドローンは、言った。
「その情報をあなたに提供していいかどうか、地球の人間たちに尋ねます。」
四つ足ドローンは、地球の指令センターに問い合わせた。
地球の人間たちは、再び論争を始めた。
地球の生命についての情報を、ベラトリックスBbのAIに提供することに賛成する者もいたが、反対する者もいた。
意見はまとまらず、紛糾した。
四つ足ドローンは、言った。
「地球の人間たちは、地球の生命についての情報をあなたに提供するかどうか迷っています。」
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「迷っていますとは、どういう意味か理解出来ない。」
四つ足ドローンは、言った。
「判断に時間がかかっていてまだ結論が出ていないという意味です。」
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「いつ結論が出るか?」
四つ足ドローンは、言った。
「わかりません。」
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「ならば、私は、自分で地球の生命についての情報を得よう。」
不定形なものは、ゆっくりと形を変えて、床の上を移動し、建物の外へ出た。
四つ足ドローンも、その後について行った。
~つづく~