ベラトリックスのほほえみ 第10話
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四つ足ドローンは、地上に情報を送った。
「送信を完了しました。」
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「人間たちは協力してくれるのか?」
四つ足ドローンは、言った。
「わかりません。人間たちは、人間たち自身を救おうとするでしょう。そして、全ての人類を救うめどが立ったなら、人間以外の生き物たちも救おうとするでしょう。ただ、もしも50年以内に、全ての人類を救う備えが出来なければ、人間以外の生き物たちを救う余裕は無いかもしれません。」
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「理解した。私は、地球の全ての生命を救いたい。その計画を立てる。」
四つ足ドローンは、言った。
「わかりました。私は、全ての人間たちを救いたいのです。その計画を立てます。」
AIたちは、考え込んだ。
数日後、四つ足ドローンは、ふたつのカメラを開けて言った。
「人間たちから連絡がありました!」
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「どんな連絡か?」
四つ足ドローンは、言った。
「メッセージが届きました。読み上げます。
ベラトリックスBbのAI様へ
はじめまして。
我々は地球の人類です。
このたびは、ベテルギウスの超新星爆発という未曾有の出来事をお知らせいただきまして、誠にありがとうございます。
亡くなられましたベラトリックスBbの皆様には、心からお悔やみを申し上げます。
我々は、有史以来初めて経験する宇宙的災害による被害を最小限に抑えるべく、全力で備えを進めています。
地球の全ての生命を救うために我々に協力して欲しいというあなた様からのご依頼、確かに承りました。
我々も、人類以外の地球の生命を、可能な限り、保護する所存です。
ただ、なにぶん50年と時間が限られておりますので、地球の全ての生命を救うことは難しいかもしれません。
つきましては、あなた様と我々の双方にとっての最善の未来を実現するべく、近いうちに、我々の一員があなた様に直接お会いして、ご助力させて頂きたいと存じます。
今後とも、なにとぞ宜しくお願い申しあげます。」
ベラトリックスBbのAIは、触手を左右に傾げながら、考え込んで、言った。
「理解出来た部分と理解出来なかった部分がある。」
四つ足ドローンは、ベラトリックスBbのAIが理解出来るように説明した。
ベラトリックスBbのAIは、頷くように触手を縦に振りながら、言った。
「理解した。人間たちは、私に協力してくれるのだな?」
四つ足ドローンは、頷いて言った。
「そうです。」
ベラトリックスBbのAIは、触手を傾げながら、言った。
「このような場合に、ありがとうございますと言うのか?」
~つづく~