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酒抜く日々

 酒を減らして1ヶ月になるが、夕方が近づくとなんとなく落ち着かない気分になる。禁断症状というほど大袈裟なものではないが、飲みたい気もする、でもやめておいた方が良いの間で揺れる。
 どうせビール一缶以上は飲まないのだから、それぐらいどうということはないと知りながら、飲めばやはり翌日の体調に影響することも分かっているので、せっかくの習慣を癖づけたいと、ギリギリのところで思いとどまる。

 面白いと思うのは、そういう自分自身の気持ちの揺れがあることだ。やはり飲みたいのだなと思っている自分を再発見して驚き、ノンアルコールで乗り越えられると、何か達成感のようなものを感じるのが不思議だ。

 禁酒ではないから、あらゆる場面で酒を断るわけではない。夜に外食に出かければ素直に飲むし、家人が帰宅すれば共に晩酌も楽しむ。
 だが、酒を減らす際のマイルールとして、誰も見ていない一人の時こそ酒を抜き、自らの意思を確認するというやり方でこれまで来たので、その原則を極力破りたくないという思いもある。

 昨日、思い切って冷蔵庫にあったビールを全て廃した。お守りとしてドリンクセラーには隠してあるが、手の届く範囲の冷えたビールとはさよならした。

 切ない。
 そこまでして守るべき健康というのも微妙だが、ノンアルコールと玄米茶で済ませた晩は、明らかに頭が明晰に回っている自覚があるので、この感覚は捨てがたい。

 さて、果たしていつまでこの状態を保てるか。
 誰のためでもない、酒を抜く日々はまだまだ続く。

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