【キネマ救急箱#27】スパイダーヘッド 〜魅力的なアノ人、サイコパスかもよ?〜
こんばんは。
ニク・ジャガスです。
来月に公開を控えるMARVEL STUDIO最新作『ソー/ラブ&サンダー』、きっと楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
主演を務めるクリス・ヘムズワースは、鍛え抜かれた身体にチャーミングな笑顔が魅力の人気俳優ですよね。
そんな彼の笑顔に、あなたは騙されているかもしれません。
6月11日よりNetflix独占配信がスタートした映画『スパイダーヘッド』を鑑賞しました。
大ヒット中の映画『トップガン マーヴェリック』でメガホンを取った、ジョセフ・コジンスキー監督の最新作。
本作で監督と3度目のタッグを組むマイルズ・テラーと、クリス・ヘムズワースが主演を務めるスリラー映画です。
通常の刑務所と違い、自分らしく、自由に刑期を過ごせるスパイダーヘッド刑務所。
どことなく映画『シャッターアイランド』を想起させるような、孤島にある刑務所なのですが、スパイダーヘッドの囚人たちは各々の部屋を好きに飾り、鍵もかけず、料理をして好きなものを食べています。
そんなスパイダーヘッドの看守スティーブをクリス・ヘムズワース、ある事故が原因で服役している囚人ジェフをマイルズ・テラーが演じています。
いたってシンプルな登場人物と美術
この映画はまず、世界観がシンプルです。スッと理解できます。
メインの舞台は「新薬の治験室」であり、スティーブやジェフの部屋、大食堂のほか、ほんの少しだけロケシーンがあるのみ。
正直なところ「あんまりお金かけてなさそうだなぁ」と思いました。笑
桁外れの予算を持つNetflixにしては珍しいような。
ただ、撮影は2020年の秋、コロナ真っ只中の時期にオーストラリアで行われたそう。
売れっ子俳優をまとまった期間で確保となると、ある程度は必要だったかもしれません。
そして、登場人物はかなり絞られている印象。
看守2人、囚人5人を覚えるだけで、凡そ物語を理解することができます。
過剰な演出も見られなかった本作、脚本勝負という面があるかもしれません。
流石のクリヘム、ミステリアスで魅力的
MARVEL作品で見せる「マイティ・ソー」としての演技は、力強いし笑えるしで、シリアスな場面もクリス・ヘムズワースが登場するだけで和みますよね。
本作でも、彼の魅惑的スマイルが炸裂しています。
看守スティーブは、主従関係を取っ払うため、ジェフ達に下の名前で呼び合うことを促します。
また、抜群のユーモアセンスのおかげで囚人達からの信頼も厚い。
治験中の新薬が世界を変えると本気で確信しており、自らが被験体となることも辞さない姿は意志ある研究者のようにも映ります。
しかし、彼の治験に疑問を抱き始めたジェフは、スティーブの本性に気付き、衝撃の事実を知ることに。
…まぁ、ざっくり言ってしまうとスティーブはサイコパスだったんですよね。
恐れの感情を持たず、人を利用することに何の抵抗もないため、自らの意思を貫き通せる人物。時にその姿勢は、人々を魅了するのに十分だったりします。
そんな役をクリス・ヘムズワースがしちゃうんだから、余計に虜になっちゃう。
囚人(観客)には全容が見えず、無機質な空間であるスパイダーヘッド。
スティーブという人物は、アイスにかけるチョコスプレーのように色彩豊かで中毒性があるのです。
中盤以降の失速は否めない
「作品のテーマや、無駄を削ぎ落とした演出が面白い」と思って見進めていた本作ですが、中盤以降でガッツリ失速します。
物語が最も盛り上がるはずのラストシーン、中途半端な笑いの伏線回収と、『キングスマン』の低質オマージュで丁寧に紡いだはずの前半が台無しになってる!笑
スリラー映画のサイコパスである以上、サノスくらい絶対的な力を最後まで貫ける人物であってほしかった。光の速さで雑魚キャラへと転落した姿に絶望すら抱きました。
スマートなスリラー映画を期待して観ていた分、ちょっぴり残念な作品に思えてしまいました。
珍しく辛めの感想となりましたが、監督、俳優、製作会社に「ハリウッドの旬」が詰まっています。
押さえて損はない作品ですので、是非ご覧ください。
そして是非、ラストシーンについて一緒に語りましょう!
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました😊