影響について
誰かからの影響というのは難しいものだ。表明するだけでその人の性格を形作ってしまうし、あまり沢山挙げすぎてもその人がわかりにくくなってしまう。特定の存在を挙げて、その人の影響を受けました、と主張すると、その人がダメな人だったときとか、不始末を起こしたときにその人も一緒に流されてダメな人みたいな扱いになってしまう時があるじゃない。だから、影響という言葉は、あまりその人を知る材料にはならないことが多々ある。
あと、影響そのものが世代を表している例もあって、くだらない影響だなと思っても、本人は真剣に聞いていたり読んでいたりするので、意外と侮れないものなのである。だから影響について表現することは難しい。
私は作家残雪の影響を公言するけど、これは残雪に関しては残雪研究を全部揃えるほど影響を受けたという根拠もちゃんとあるからだ。残雪がいたから作家をやっている、という自覚もある。逆にこれほど明確な根拠を持って語れるほど影響と言えるのは珍しい例かもしれない。ほとんどの人はなんとなく読んでなんとなく面白かったりつまらなかったりという具合で、その人の人生に影響を与えるほど好きとか嫌いとかには、だいたいはならないのだから。
ただ、人から好きな作家を聞かれた時とかは、残雪はほとんど誰も知らないので、カフカが好きです、と答えるようにしている。実際、カフカの影響もちゃんとあって、カフカ全集は買って実家にある。カフカの影響から残雪を読んだので、カフカは私に取ってかなり入り口のようなポジションにあったとも言える。カフカの影響でゼーバルトやポール・オースター、レイモンド・カーヴァーなんかも読んだ。サリンジャーもそれに前後して読んだ。ガブリエル・ガルシア=マルケスも読んだ。安部公房、イスマイル・カダレ、J・M・クッツェーも、アンナ・カヴァンもP・K・ディックもトゥーサンも。カフカが入り口になってそれらを読んだのは、カフカのWikipediaの影響が大きい。が、カフカの研究書もかなり読んだので、カフカが本当に好きかというと微妙な気持ちになってくるのである。
あとは、ジェイムズ・ジョイスもかなり読んでいると思う。カナダにいたときに原書を買ったのだ。ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』、ハイデッガーの哲学書の英訳、サリンジャーのライ麦と、カフカの『変身』の英訳は、カナダにいたときに揃えている。
そのほか、三島由紀夫はかなり読んでいる。三島由紀夫の『禁色』の影響もあり、Twitterの名前は南悠一から取ってyuichiminamiにしている。梶井基次郎も大分読んだと思う。死んだ作家は不祥事を起こさないので基本的に問題なく影響に採用できる。しかし最近では名前の残っている作家は名前を汚すようなものを次々に研究者が発見してくるので死んだ作家でも難しいものはある。私が自分の小説の点訳や朗読を許可しているのはP・K・ディックがそれを許可したというWikipediaの言い伝えによるところが大きい。
あと影響というとエヴァンゲリオンとぐでたまはかなりある。
なので夜田わけいを構成しているのは
残雪、ジョイス、エヴァ、ぐでたま
ということでいいのかもしれない(いいのか?)。
追記
大分偏った感じになったのだけど、考えてみればゲームからも影響を受けていて、イストワールとネフェシエルの影響を外すわけにはいかないだろう(この二作品は音楽もよく聴く)。ニンテンドー64のスーパーマリオ64とマリオカートももちろんだ。ニンテンドー64だとスマブラも面白かった。あまり強くはなかったが。ポケモンも2世代目以降の金銀RSまでは影響として外すわけにはいかない。
本だけでなく音楽も含めるならば、マイケル・ジャクソン、クイーン、メイナード・ファーガソンとグレン・グールドも入ってくる。
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