自分でも採れる!地産地消で味合うカナダ暮らし
今年は地元のオーガニックな食べ物が手に入った嬉しい夏でした。
うちの庭でさくらんぼが採れたり、知人から庭から収穫したというリンゴや洋ナシをもらったり、タネを分けてもらった紫蘇が収穫できたり。
家庭菜園で作ったというよりも勝手に育ってくれたものを採ったという感じです。
そして今年の夏はカナダに遊びに来た夫が、暇つぶしと楽しみを兼ねて、引き潮の時は近所の浜辺へ行ってアサリ採り、朝は桟橋に行ってカニ獲り、夕方になると魚釣り、という具合にメニューに合わせてたまに食材調達に海に行ってくれたのには助かりました。
食べたいもを食材調達し、そして夕飯づくり。積極的に夫がやってくれるおかげで、カナダでの我が家の食生活がすこぶる良くなりました。
ある日、夫が夕飯を作りかけて、一品足りないと思ったのか、
「ちょっと魚釣ってくる。」
と言うので
「えっ、今から魚釣るってどのぐらい釣りするつもり?」
と私が聞くと
「30分だけ、やってダメだったら、すぐ帰ってくる。」
と言って速攻車を出して釣りに行ってしまいました。
30分後、本当に魚を一匹、釣りあげて帰ってきたのには驚きました。
釣れるのはロックフィッシュぐらいですが、釣れやすいらしい。
そして何事もなかったかのように嬉しそうに料理を再開し、魚料理を一品作ってくれました。
本人も
「カナダはいいなぁ、魚はスーパーじゃなくて近所の海に行けばいいんだから。」と感心しています。
そしてある日、そんな夫に甥が「お世話になっているお礼」ということで、サプライズでお誕生日プレゼントをしてくれました。
それは海釣りのBooking(予約)でした。
岸からの釣り竿を垂らして海釣りをしている夫ですが、この海釣りはボートを海に出してもらって楽しむ釣り。
海のど真ん中までボートを出して釣るので、大物の魚が釣れる可能性があります。
日頃「一度、サーモンを釣ってみたいなぁ」と言っていた夫の夢が半分叶ったようなお誕生日プレゼントでした。
夫の大物のターゲットはもちろんサーモン。
岸釣りや河口付近でサーモンを釣り上げる人もいますが、海のど真ん中で獲れるサーモンは味が美味しいのです。
レジャーフィシュングなので装備は船長さんがすべて貸してくれます。
ただ、サーモンを釣るための許可証(ライセンス)は事前に自身で用意しなければいけません。夫は大喜びでライセンスを買いに行きました。
予約の釣り日当日。
果たしてサーモンは釣れるんでしょうか?
ツアー時間のうち、実質釣りができるのは2時間程度。
広い海で油の乗った元気で美味しいサーモンを釣り上げることは、そう簡単ではありません。なんたって2時間だけですからね。
あまり期待しすぎず、心を平静に保つのがいいでしょう。
とは言え、このチャーター代、結構するのでなんとか普段は釣れないような何かしらの魚を釣ってきて欲しいものです。
そして朝から甥と二人でいそいそと出かけていきました。
ボート乗り場まで運転して行って3時間、ボートが出るのが午後です。
何の連絡のないまま過ぎて、多分を釣りも終わってボートもすでに岸についているだろう5時ぐらいにようやく携帯が繋がりました。
「どうだった?サーモン釣れた?」
と聞くと
「普通の魚が一匹釣れた」
と言います。
「そうだよね。サーモンはそう簡単に釣れないよね。でも海に出れて気持ちよかったでしょう。念願の経験ができてよかったね。」
と言いながら、やっぱりサーモン無理だったかぁ、とちょっと残念。
そんなもんかと思い直し、携帯を切りました。
そんな二人が家に帰って来たのが夜の8時。
夕飯も済ませてきてくれました。
「今回はちょっと残念だったね。サーモンはやっぱり難しいね。
どんな魚を釣ったの?見せて。」
というと二人がアイスボックスの蓋を開いて見せてくれました。
中には何やら大きめの魚が横たわっています。
「えっ、これってサーモンじゃん!しかも2匹!!」
二人の顔が急に満面の笑みに変わりました。
「ツアーの終わり掛けに諦めていたら、ほぼ二人同時に一匹ずつ釣れた!」
とその瞬間を二人で思い出しながら、はしゃいでいます。
しかも2匹とも80㎝越え8㎏と重い。
さらに
「タラ~!」
と見せてくれたのが卵の塊り。イクラでした。
2匹とも雌だったのです。
無茶苦茶、ラッキーな二人です。
こんな風に大きめのサーモンが1回2時間のツアーで2匹同時に釣れるのは、かなり珍しいことらしく、船長さんもこのアジア人の釣り客の釣果に大喜びで「自分にも写真を撮らせてくれ」と言って両手にサーモンを持って写真を撮っていたそうです。
いい宣伝になりそうです。
釣ったサーモンは内臓と血抜きが船長さんによって現地でされていますが、
一匹そのままの姿は、顔は気品のあるいかつさで、引き締まった体は銀色の流線形で輝いています。
ワイルドサーモンの力強い美しさを感じます。
その後、二人でそれぞれが釣ったサーモンを捌き、生臭くなって、鱗が飛び散った台所をキレイに片づけて、夫が寝たのが朝の5時だったそうです。
うちは魚は釣った人が捌いて片づけるのが方針なので、私は捌きませんし、捌けません。私はイクラのほぐし担当なので後日やることにしました。
そんなこんなで後日夫が作ってくれた夕飯。
今回は庭の紫蘇・大葉が大活躍してくれました。
カナダにいることを忘れてしまうほどの美味しい海の幸と夫の料理。
この間、何度かホームバーティに呼ばれてその時も夫に料理を作ってもらっていますが、毎回好評で「ご主人はシェフなの?」と言われますが、シェフではありません。
夫は自分が美味しいものを食べたいのと、料理を褒められるのが好きなので、そのおかげで回りが恩恵を受けているのです。
こうして産地直送、地産地消で食べようとすると、時にはまだ生きている状態だったり、自由に自然の中にいた姿が浮かんできます。
さらにそれを獲る側も獲るために粘り強く待ったり、工夫をしたり、ようやく獲れても、その後も処理したり、調理をしたり、片づけたり、大変です。
そんな過程を間近に見ると食べるときに自然と「頂きます」という気持ちが湧き上がってくるものです。
食べる対象にも獲ってくれた人にも料理してくれた人にも。
実は食卓で食べているものはそんないろいろな過程を経て届き、食べているんですよね。
今日も美味しく食べらえることに感謝。
とはいうものの、私は人間ができてないので、よく忘れてますが、思い出したら、心の中でもいいので言いましょう。
頂きます。そしてご馳走様。