茶道とラーメンがいっしょ？！
先日、友人のカップル( 日本人女性とカナダ人男性）がうちにお抹茶を楽しむためにうちに遊びに来てくれました。
以前Noteで書いた「すっぽかされました！」記事のカップルです。
今回はもちろんちゃんと来てくれましたよ。
私もお約束通り、二人に浴衣も着せてあげました。
初めて揃って浴衣を着る二人、お互いを見合ってなんだかとっても嬉しそうです。
いよいよ浴衣を着て茶道体験。
茶道体験と言っても簡単な茶道紹介です。
目的は異文化の日本の文化を楽しんでもらうこと。
日本文化に限らず、異文化に興味を持つってことは素晴らしいことだし、興味を持った時に触れるチャンスがあるということはラッキーだと思うから。
私は必ず「和敬清寂」の話とお菓子と抹茶の頂き方を説明をします。その方がずっと集中してお茶会を楽しんでくれます。
そしてゲストにはお茶会のように抹茶を飲んでもらいます。
そんな茶道のお客様のお茶の頂き方の作法の一つとして「吸い切り」があります。最後の一口でお茶を飲みほすときに「スッツ」と短く音を立てて飲み切るのが「吸い切り」です。
茶道ではなんの抵抗もないの吸い切りですが、海外ではこのマナーにビックリされて、思わずクスっと笑いがでたり、実際にやる場面になると照れて上手く出来ない作法の一つです。
今回のお茶会でコリンがお茶を飲んでいるときに
「最後に吸い切り忘れないでね。」
と言うと「OK！」と言って「スッ」と上手く吸い切りました。
するとコリンが、凄いことに気が付いたように興奮して
「そっかぁ、お茶もラーメンと同じだ！」と言い出しました。
えっ、ラーメンと茶道が同じってどういうこと？
「茶道もラーメンの音も日本の文化では同じ考え方なんだぁ。」
茶道の吸い切りの「スッツ」とラーメンのズルズル音が同じ？
「それってどういうこと？」
と聞くと
「茶道の吸い切りもラーメンで音を立てて食べるのも「美味しいかったです」「美味しいです」と作り手への感謝の表現でしょ。どちらも音で表現する。だから一緒だよね。」
なるほど・・・・一理あるような。
ただし、清浄な空気の中の潔い茶道「スッツ」と賑々しいラーメン屋さんで汗をかき、しぶきを飛ばしながら食べるラーメンの「ズルズル」が同じとは瞬間的には受け入れらず、
「茶道の吸い切りは、お茶会中はなるべく余計な会話をしなくて済むように『飲み終わりました』『美味しかったです』『ありがとうございます』の意味でnonvabal communication （非言語コミュニケーション）の一種。
ラーメンの音を立てて食べるのとはちょっと違うと思う。」
と咄嗟に言いました。
私にそう言われたクリスはちょっと残念そうです。
言った私もなんか気になる。
日本で買ったLサイズの浴衣もこうなります。
茶道体験が終わって二人が帰った後ちょっと調べたり考えてみました。
確かに茶道の吸い切りは
・最後まで飲み干すためには吸わざる得ないし、機能的に音が出る
・ならば音は空気を切るようなスッキリ感じる音が好ましい
・音に意味を持たせることで茶席でのコミュニケーションの手段となる
一方ラーメンや蕎麦はというと
・箸で長い麺を食べるにはすすると食べやすい
・すすることで熱い麺も食べやすくなる
・すすることで鼻から香りを感じたり、味も空気とより絡むことで美味しく感じられる
麺をすすることは機能面や美味しさアップの面でも有効だったのです。
なので蕎麦屋やラーメン屋さんの親父が「ちゃんとすすって食べやがれ！」というのも一理あったんですね。
その中で心地よい美味しそうに食べるズルズル音の典型が出てきたんじゃないでしょうか。
ラーメンや蕎麦のズルズル音に「一生懸命美味しく食べてますよ」「美味しくて感謝してますよ」っていう気持ちを感じてもおかしくないですよね。
「茶道の吸い切り」も「ラーメンの啜り」も機能面からどうしても出てくる音の中になるべく耳障りのいい、そのシチュエーションにあった音を追及し、そしてその音に意味を感じる、もしくは持たせた、という意味では
えっ、結局、いっしょ？！
コリン、ごめん。
もしかしたら、コリンの発見は正しかったかも。
こんな風に海外にいると自分の価値観と全く違う側面からアプローチされることがあり、一瞬抵抗を感じるんだけど、よく考えてみると新鮮な時があります。
それが海外暮らしのオモシロイところでもあるかも。
ただ、これだけはコリンに言いたい。
音を立てて食べることは日本らしい文化ではないからね。
食事で音を出して食べることは、日本でも美味しいや感謝していますの意味は普通はないよ。
茶道の吸い切りもラーメンも例外。
音を立てて食べることは日本でも基本マナー違反だよ。
絶対に間違わないでね。
と念を押したいです。
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