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サンショウウオの四十九日
「サンショウウオの四十九日」は、朝比奈秋さんが芥川賞を受賞した小説だ。両生類のサンショウウオと法要の四十九日が、どう考えても頭の中で結びつかず、しばらく読むのをためらっていた。そして1カ月余りの間、サンショウウオが私の頭の中に棲みつくようになった。
ある日、新聞でこの小説の書評を目にしたら、おいしいごはんにそそられた気がした。読書欲が駆り立てられ、さっそく図書館で本を借りた。まさに評者に背中をポンと押された感じだ。
小説を読み進めていくと、今度は2匹のサンショウウオが頭の中をくるくると回り始めた。お互いに仲良く寄り添ったり、離れ離れになったり。時には結合して、一体化しているように安らいでいる。
この小説は、一度読んだだけでは内容を理解することが正直難しかった。でも再読、三読すると、作家の思いや作品のおもしろみが分かるかもしれない。読書の秋にサンショウウオの正体を見つけてみよう。純文学を読む楽しみが増えた。