行動食の雄「かし原羊かん」3兄弟を比べてみる
登山などの行動時に持ち歩く食品で、絶対的な信頼感を放つ「かし原羊かん」。メディアで取り上げられるような華は無いが、知る人ぞ知る燻し銀の存在として行動食界に君臨する雄である。
「塩羊かん」が有名だが、他に2種の兄弟がいることは知らない人も多いだろう(実はもっといるのかもしれないが)。
「本煉羊かん」と「栗羊かん」だ。
その兄弟の存在に気づいてからは、何となく気分で違うものを買ってみて「やはり塩だな」などわかったクチを叩いていた。
改めて3兄弟を取り揃えて何が違うかみてみようと思う。
「本煉羊かん」「塩羊かん」「栗羊かん」の10本入り袋のラインナップ。
並べてみると、読み間違うと思えない「塩」に「シオ」とふりがながあったり、「栗」は漢字じゃなくて絵だったかと改めて分かることがある。
かし原羊かんとは
細かい比較に入る前に、簡単に説明しておこう。
乱暴にいえば「羊かん」を一口サイズにパッケージしただけのものだ。
しかしこれが行動食として、実に都合がよい。
行動食とは、登山やスポーツの最中に動きながら栄養補給できる食品のことを言う。
おにぎりやサンドイッチなどが代表格だろう。それに加えて、チョコレートやナッツなど補助的なものも含む。この羊かんもだ。
この補助的な行動食に求める機能として一般的なものは以下のようなものだろう。
・高カロリー。
・携帯性に優れる。
・すぐ食べられる。すぐ食べ終わる。
・手を汚さない。
・夏は溶けない。冬は凍らない。
・日持ちする。
行動食として他の栄養素を加え機能性を高めたスポーツ用の羊かんというものもある。しかしこの「かし原羊かん」は純然たる羊かんである。
「塩羊かん」の原材料を見ても、『砂糖、生飴、水飴、寒天、塩』だけである。完全に和菓子である。
スポーツ用などと謳っているわけでもなく、袋には「夏場は冷やしてお召し上がり下さい。」などと行動食としてはいささか無理な難題が書いてある。
行動食として製造されたものでは無いが、かし原羊かんは、羊かんにして行動食としての要求を満たしている食品なのである。
圧倒的コスパ
行動食として必須な条件ではないにしろ、コストパフォーマンスは重要だ。
この羊かんは、10本入りで概ね200円前半で入手できるだろう。
1本あたり20円前半。スポーツ用羊かんと比較すると数分の1のコストとなる。ジェルタイプなどから比べれば十数分の1のコストとなる。
ただこれは、単純にカロリーだけをグラムから換算したらの話であって、優れた吸収性や持続性などを無視した場合だ。行動食を突き詰めた高機能性食品を否定する気は無い。
ここぞというパフォーマンスを得たい時には、そちらを選択すべきだろう。だが、ここぞとまで行かない「かし原羊かん」で十分なシーンも多いはず。
携帯性
縦 91mm、横 30mm、厚さ 14mm。
上下端 9mmはパッケージの封をしている箇所で、厚みは無く折ることも可能。
他の行動食と比較してもかなり小さくまとまっていて、収納に困ることはないだろう。
取り出しやすさ
ウェストバッグにでも忍ばせておいて、さっとひと口。
「この部分を立てて両方へ強くひっぱってお開けください。」と書かれた矢印部分の切れ込みを説明通りに上下に引っ張ると中味が顔を出す。あとは後ろから押し出すとするりと出てくる。
片手に最適化されたスポーツ用羊かんなどに比べると若干劣るが、開けにくいということは無い。
慣れれば歯を使って片手で開けることも可能ではある。歯にかけるのを何回か試みるくらいなら、最初から両手で開けたほうが早い場合も多いが。
本煉、塩、栗
前置きが長くなったが、3種の比較をしてみよう。
スペック
栄養成分を見てみたい。
パッケージの裏に成分表があるので、書き取ってみた。
特筆すべきは「塩羊かん」の塩分相当量である。
いやそりゃ塩羊かんだしと言う声も聞こえるが、他に比べて65倍も入っているのである。
他の栄養はあまり差が見られなかった。
あえて言うなら「本煉羊かん」は、炭水化物が多く、「栗羊かん」は脂質が少ないというくらいだろうか。
行動食としての観点からみると炭水化物の多い「本練」を選択すべしとなるが、2%程度の差でしかない。
基本的には、塩を欲するか否かで分かれることになろう。
夏期など汗を多くかく時は「塩羊かん」、冬期は他どちらかなどの選び方もできよう。感覚的なとこで言ってるだけなので、医学的に正しいかどうかは各人で確認してほしい。
栄養成分に関しては、「塩羊かん」の塩分相当量が違うだけと言っていいだろう。
栗の有無はあまり影響しないようだ。栗の栄養価は小豆と同じようなものだが、脂質が少ないということなのだろうか。
重量
それぞれで内容量に差があるのかを見てみた。
4本づつランダムに取り出し平均を取った。
本煉・・19.75g
塩・・・19.38g
栗・・・19.41g
本煉が若干重いように見えるが、サンプルを多くすれば埋まるような誤差の範囲のような気がする。個々で見た時の最小最大の差も1g以下に収まっている。1本あたり19.5gあたりと言って構わないだろう。3種にそこまで差は見られない。
パッケージはおよそ0.8g。
1本は19.5g、内容量は18.7gとなる。
エネルギー
栄養成分を1本あたりの数値にしてみた。
100gでたいした差がみられないので1本あたりにしてもたいして差はない。熱量(カロリー)の平均値は53.7 kcalだ。
糖質は体内の蓄えが効かないので、持続的に摂ることが重要とのこと。
30分毎には100kcalを目安に何かしら口にしていたい。この羊かんであれば30分に2本となる。
ただこれは、6時間の行程なら羊かん24本を食うべしなどと言うことを言っているわけではないので注意してほしい。ものには限度というものがあるし、そんなに羊かんばかり食べられるとは思わない。おにぎりなどをメインにしておやつ感覚で食べるものだ。
色
色の差など必要だろうかと疑問に思いつつ、何の参考にもならないことを承知で、せっかくなので比べてみた。
「本煉羊かん」は他2種に比べて色が濃い。わずかな差ではあるが。
「栗羊かん」は外からではうっすらとしかわからないが、切ってみると確かに栗らしきものが入っている。さいの目状の薄黄色いものがおそらくそれだ。
味
栄養的にそこまで差がないのであれば、あとは「味」だろう。
最初に断っておくと、この「かし原羊かん」は純然たる羊かんだけに3種全て美味い。美味いは前提条件として省略し、食べ比べて違いを感じた部分だけ記述する。
本煉羊かん
しっかりとした食感。ただちょっと甘さが残る。茶菓子として本来の役目をまっとうしていることに非は無いが、飲み物が欲しくなってしまう甘さだ。
塩羊かん
本練より若干柔らかい。塩味が効いているのか、甘過ぎないすっきりした味で食べやすい。
栗羊かん
明確な栗の食感があるわけではないが、栗の分だけ旨味がある。なぜか3種の中で一番つるつるしていて飲み込みやすい。
食べ比べてみると確かにそれぞれ個性がある。
茶菓子としてではなく、羊かんのみで食べた場合、本煉の良い面が逆に働いてしまっている感じが残念だった。
総評
3種並べてみたはいいものの、塩分以外に有意な差が見つけられたわけでもない。
結果的に単に個人的な味の好みとなるが、塩分補給という利点を無視しても「塩羊かん」がもっとも美味く感じた。
塩分の摂りすぎを気にしないといけない場合など、残り2種からの選択となる。
次点では「栗羊かん」だろうか。
フォローするわけではないが、家であたたかいお茶に合わせて食べるなら「本煉羊かん」が良いことは間違いはない。
いろいろ測ったり長々と書いてみたものの、特に何も得られない、役に立たない駄文となってしまった。徒労という言葉を感じざるを得ない。
行動食として食べるなら「塩羊かん」がオススメです!と振り出しに戻ったかのような乱暴な言い切りで締めてしまおう。
Amazonで買う場合は、15袋となかなかなボリュームでやってくるので驚かないように。
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