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あとがき 四度目の夏を辛抱強く最後まで読んでくださった方々に、 心から感謝します。 読み…
プロローグ 2046年4月22日 だからまだ、死ぬな。 病室でラボの最高責任者はベッドに横たわる…
◇ 杉盛博士―― 聞こえるか? 聞こえるなら返事をしてくれ。アルチメイトブロックホク…
2046年7月27日 11:33 「なにも変わっちゃいない。どうしようもなく毒に侵された科学者だ…
2046年7月27日 11:23 ――1万メガバイトレベルのファイルがあれば、おそらくそれが0…
2046 年7月 27日 11:12 「ほいで、それと同時に」 よっくんが言った。 「にぃやんのあのい…
2046年7月27日 11:16 よっくんが本堂に走り益司さんを見張る間にぼくは母屋の二階に駆け上がった。 益司さんと佳菜江さん寝室のドアを開けた。 二人の寝室は、昔は父さんの部屋だったことを、おばあちゃんから聞いたことがある。隣の佳菜江さんの部屋との壁を壊してつなげて大きくした。だからこの部屋にはドアは二つある。 ぼくは寝室側じゃない、かつては佳菜江さんの部屋だった左側のドアを開けた。右手にはシングルベッドが二つ並んで、その向こうにみっちゃんのベビーベッドがあ
2046年7月27日 11:01 ぼくらは急いで白泉寺に戻った。 長い石段を二段飛びで駆け上がる…
◇◇◇ わたしが肺がんに侵されて余命いくばくもなかった頃には、すでに映像で見る地…
【まえがき:今回の『四度目の夏27』には、今般の新型コロナウイルス流行期にふさわしくない表…
2046年7月27日 9:49 昨日と同じルートで山を下っていく。 スギの木の根っこを自転車…
チョコチップスコーン ブレンダがテーブルにあるガラスの容器からマッチを取り出して、消…
2046年7月27日 7:33 目を開けると、木目の天井が目に入った。木目の中には黒点もあって、…
和也君と竜太郎、そしてぼくの母さんの死 ぼくは和也くんに意地悪をしたことも、悪口を言ったこともない。竜太郎たちに加担することなんてありえない。でも、彼が顔を歪ませて泣いていても、助けたことはなかった。 和也くんをいじめた男子グループをくだらないと、ただただ、軽蔑していた。教室という小さなコミュニティにある小さなヒエラルキーの頂点――その頂点にいたのが神木竜太郎だった。彼は歴代続く大物政治家の息子で、ぼくみたいなIT成金の息子を低レベルの象徴みたいに罵った。彼の取り巻きの