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HISの経営戦略(2020年10月期)

皆さん、こんにちは。

飽きっぽい性格なので、総合電機業界→通信業界と来て、いきなり旅行業界に参入しましたRです。
#好奇心旺盛
#コロナ下で気になった

HIS。旅行会社のイメージですね。僕は使った記憶がありませんが。昨今のコロナ状況下で、どのような戦略を立てているのか。

業績への影響はどれくらいなのか。

その辺りを見ていきますね。

さて、中期経営計画なるものが無かったので、2020年10月に発表された決算説明会時の資料を参考にしています。

数値だけではなく、最新の経営方針も書いてあったので参考になりました。

1.経営戦略

コロナ下では2020年度の見通しが大幅な悪化となっております。前年比で言えば売上が50%ほど減少しています。

50%ってすさまじいですよね。普通の中小企業で売上が半分になったら倒産します。まあ、実際このコロナ下で経営破綻した会社は2020年2月からの累計で800社にのぼると言われています。
ややこしいので、言葉の定義だけ整理しときます。
●破綻:物事が修復することの出来ない程うまく行かなくなること。経営が行き詰まった頃から業務停止までの期間を表す時に用いる。
●倒産:企業の経営資金のやりくりが付かなくなり潰れること。債務を返済できない状態を表す時に用いる。
●破産:財産を全て失うこと。会社の経営が成立しない状態を表す時に用いる。
まあ、簡単に言えば、まず経営がやばくなって破綻する。それで、借金が返済できなくなり倒産する。倒産したら法的には、再生を目指す再建型と、
借金を免除してもらう清算型に分かれ、後者を破産といいます。

それでも大企業HIS。今年はなんとか耐えて、2022年にはほぼ2019年の水準にまで回復するというシナリオを立てています。

HISにも複数事業があります。
・旅行事業:みなさんご存知の旅行ツアーの提供などの旅行サービス。
・テーマパーク:長崎の日本一広いテーマパーク「ハウステンボス」の運営
・ホテル事業:「変なホテル」やグアムのホテルの運営など。
・地域事業:「熊本」の産業振興に注力する観光事業。
・ロボット事業:ロボットを通じて新規サービスを創出。
・エネルギー事業:発電事業による地方創生。環境問題対策。
・保険事業:旅行などについてくる保険サービス。

意外と多くの事業を手掛けていました。
旅行だけだと思いきや、エネルギー事業も取り扱っているんですね。

じゃあ、それぞれの事業でどのような戦略を立てていくのか。
具体的に見ていきましょう。

2.事業戦略

(1)旅行事業

<現状分析>
→コロナの影響で2021年の世界の航空需要が新型コロナウイルスが広がる前の19年の半分になるとの見通し。
ただ、感染対策としてワクチンの開発が進み、近い将来ワクチン接種が本格的にスタートするとのこと。Go Toキャンペーンスタート以降、国内旅行は回復基調になり東京解禁後は、予約数が倍増。
ただし、Go To キャンペーン終了に伴う反動減や拡大に伴う再度の緊急事態宣言等の影響を受ける可能性あり。

確かに、つい最近Go Toの中止が決まるなど、予測が難しいですね。特にワクチンについては副作用などがみられるので、国内での適用はまだまだ先になると思います。

<国内旅行>
販売手段の見直し(DXによるデジタル化)など、経営リソースの最適化を図り、コスト構造の変革に着手。また海外旅行に関わる経営資源を国内旅行へ配置。

<海外旅行>
コスト削減を一段と強化。人件費の抑制。営業拠点の統廃合。事業の再編。
ロイヤリティ部門に資源を集中。BtoB関係で渡航可能な国際旅行を手配。

ざっくり言えば、コロナでしばらくは旅行できないであろう海外事業を縮小し、Go Toで需要回復見込みのある国内旅行に注力しようという考えです。

国内旅行では他社との差別化を図るために、商品の拡充に力を入れています。難しいのが固定費。

現在は売上規模が落ち込んでいるので人員は縮小気味ですが、コロナ下を脱すると、その反動で大きく需要が伸びます。

その際、ある程度対応できる人員を確保しておかなければ、売上を伸ばす機会を失ってしまうので、雇用助成金などを活用し、いかに今の時期を乗り越えるかが重要となってきます。

旅行業界は、ワクチン開発や政策の動向などあらゆる要因を追っていく必要があるので、難しい業界ですね。

ちなみに、新たな取り組みとしてオンライン旅行なども始めようとしているとのこと。リモートワークならぬリモートトラベルですが、果たして需要はあるのか。

ただ、コロナ下だけではなく、入院などで遠出が出来ない人などにも需要がありそうなので、これを機に一気にサービスを拡充するかもしれませんね。

(2)テーマパーク事業

<現状分析>

緊急事態宣言以降、移動自粛により一時的に大幅な需要減となったが、解除後は着実な回復基調を辿り、既に19年水準まで回復。感染拡大に伴う入場制限や閉園等の対応を余儀なくされる可能性あり。

<今後に向けて>

今後のコロナからの回復時期に合わせて、新アトラクション、大型イベントの開催を実施し、集客強化、業績回復を目指す。

テーマパークも今は厳しいですよね。ただ人数制限を行いコロナ感染対策を徹底しているディズニーに需要があるのと同様に、サービスの提供次第では十分集客効果の狙える事業だと思います。

どちらかといえば、そのテーマパークに行くための交通手段による感染リスクが懸念されるので、その辺りの問題を旅行会社としてどのように解決していくかですね。

(3)エネルギー事業

なかなかなじみがないと思いますが、電力小売事業、発電事業も行っています。グループ会社と連携し、各種キャンペーンを通じて個人客の裾野を拡大していきます。コロナにより一時的に大口顧客の需要が減少したが、既に計画通りの状況に戻っているとのこと。

旅行事業と違い、インフラ関係は生活に必要不可欠なものなので、旅行事業が伸び悩んでいるいま、いかにこのような事業で安定した収益を稼げるか。今後注目される事業だと思います。

どの事業も、他の業界以上にコロナの打撃を受けるので、柔軟な対応策が求められます。

3.財務数値

売上高:2020年度見通し 4,302億円(2019年度実績 8,085億円)
営業利益:2020年度見通し ▲311億円(2019年度実績 175億円)
当期純利益:2020年度見通し ▲250億円(2019年度実績 122億円)

コロナ影響により、今期は赤字の見通しです。
助成金収入など特別利益を計上する一方、コロナによる臨時休業、赤字による固定資産の減損損失の影響で当期純利益も大きく赤字です。

このような状況を受け、キャッシュ・フロー確保のため、財務方針を打ち出しています。柱としては3つ挙げられます。

①投資計画の見直し(投資を減らすことで、資金の流出を抑制)
②手元流動性の確保(資金繰りのため、換金しにくい不動産、有価証券の売却を進め、換金しやすい資産を増やす。)
③コスト削減(DXによるコスト構造の変革を進めコスト削減を進める)

今回のポイントは手元流動性の確保。

手元流動性に関連する手元資金というのは、現金預金と短期所有の有価証券です。

営業利益が赤字では、設備の維持費、従業員への支払いなどのお金がなくなっていきます。

負債として借りることはできますが、その分利息がかかるので、証券などの資産を売却して資金を確保しようという考えです。

それに、債務を期限内に返済しなければいけないので。

この辺を十分に考えられていないと、資金繰りがうまく行かず倒産にもなりかねないので、P/Lだけではなく、B/S、C/Fも注意深く観察することが、今後の経営には必要不可欠になります。

4.まとめ

HISについても最近、新聞などで海外拠点を95か所削減という記事がありました。まさに、この決算方針で述べた戦略を実行しています。

厳しい状況の中で大きな判断をしていかなければ、今後生き残れないと判断したんでしょうね。

いかに、世の中の状況をくみ取り、最適解を出し、実行していくことが大切なのかが分かりました。

HIS以外の旅行会社はこのコロナ下でどのような決断をしていくのか。
同じ旅行業界の中で戦略を比較してみると、将来性など分かるかもしれませんね。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

P.S 現在休職中なので、ブログ書いてます。心理学や生活習慣、読書レビューを書いてます。↓



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