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【エッセイ】誰かに映画をオススメする基準は、予告編を超えているかどうか
映画鑑賞が趣味や、よく映画館に行っているという話をすると、「今、配信中・上映中の映画でオススメは何?」という質問をされることがあるが、毎回、それなりに悩んでしまう。
相手も、会話を盛り上げるためになんとなく、もしくは、ちょっとした興味本位くらいの感じで聞いてることがほとんどなのはわかるのだが、おいそれと気軽に答えることができない。
なぜなら、もしも、自分がオススメした映画をその相手が観た時に、面白くないと思われてしまったら、その人の1時間半から2時間くらい、長い作品になると3時間近くの時間を無駄にさせてしまうことになるからだ。
それに、なによりも、面白くない映画をオススメした人ということになり、センスを疑われてしまうのは避けたい。
人それぞれ感性が違うのだからしょうがない。と言い訳するのは簡単だが、面白い映画を知りたい人には、面白い映画を見てほしいし、せっかく教えるのだから、「面白い映画をオススメしてくれてありがとう!」と口に出してくれとまでは言わないが、プチ感謝されるくらいのリターンは欲しくなるのが、人間の性というものだろう。
そんな、自分の感性やセンスを問われる、「オススメの映画は?」という質問に答える時に、自分の中である基準を設けた。
それは、「映画本編の面白さが、予告編を超えているかどうか」だ。
予告編がピークで、本編はそこまでハマらなかったな、物足りなかったなという経験をこれまで幾度もしてきた。
決してこれが悪いこととは思わないし、予告編を面白くするのは当たり前のことだし、自分の映画を見極める力、選球眼ならぬ選映眼がまだまだということに尽きる。
そんな中、予告編も面白そうであり、かつ、本編も負けず劣らず面白い作品や、予告編以上に面白い、満足感のある作品をオススメするようにしている。
上がったハードルをしっかり超えられるかどうかが、自分の中のオススメ映画を決めるときのポイントだ。
なので、それなりに面白いと思った作品でも、予告編と比較した時に、下回っていると感じた作品は、オススメ映画からは除外するようにしている。
別に相手にこっちから予告編を見せるわけではないのだが、自分がオススメした後に、もしもその人が予告編を見たらと考えた時に、先手を打つための予防線でもある。
また、予告編だけでは全然内容が見えない、意味不明な映画もあり、ある意味ハードルが下げられた状態で、本編を見たら面白かった、という作品もあるのだが、そういう映画は好き嫌いが分かれやすいものも多いので、「オススメの映画は?」という大衆的な質問の際には、基本的には言わないようにしている。
ただ、「マニアックな映画教えて」や「誰も知らないような映画知ってる?」のように、限定的でターゲットを絞った質問が来た場合に答えられるように、自分の中でストックさせている。
とはいえ、結局は、映画も漫画もゲームも、ハマるかどうかはその人の趣味嗜好次第なのは間違いない。
オススメはしても、押し付けることはしてはならない。何事においても、押し付けがましい人は嫌われがちであり、言われるなら、聞いたらいい作品を教えてくれる、オススメがましい人の方がいい。
だからこそ、オススメした映画を観てくれて、その上、面白かったと言われた時は、こっちも嬉しくなってしまうし、その作品の制作に1ミリも関わっていないにも関わらず、観てくれてありがとうとも思ってしまう。
誰かに映画をオススメする時は、感謝されたいというやらしい気持ちも少なからずあるのだが、面白い映画を共有し、話せる相手が一人でも増えるのは嬉しいことだし、何よりも、面白い映画は一人でも多くの人の目に触れてほしいと願っている。
大手を振って誰かにオススメの映画を紹介するためには、一つでも多くの作品を観て数をこなすというのも大事だとは思うが、時間は有限であり、予告編の段階で面白い映画かどうか、自分の趣味に合うかどうかを見極める力を養うことも必要になってくる。
このように、自分の中であれこれ考えているのだが、別に、誰かにオススメの映画を教えろ!と迫られているわけではないし、面白い映画を普及することを生業にしているわけでもない。
それでも、“映画鑑賞”という、一人の時間を思う存分堪能することを趣味にしている人間として、その“映画鑑賞”をコミュケーションツールとして使えることに喜びと感謝を抱きつつ、ただただ単純に、一本でも多くの面白い映画が観たいし、一人でも多くの人と面白い映画のことを話したい、それに尽きる。
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