わかおの日記35
釣りに行く前の日は、なぜだか落ち着かない。現地でトラブルになる不安を払拭するために、やたらと準備を張り切ってしまう。
午前中は自転車を漕いで、釣り用のバケツや餌などを調達しに行った。もう9月も終わりに差し掛かっているというのに、7月くらいの暑さであった。自転車を漕ぎながら、「佐久間宣行のオールナイトニッポンゼロ」を聴いていた。今回は個人的に当たり回だったと思う。毎回思うことだが、佐久間宣行のオールナイトニッポンゼロは選曲がいい。エンタメ界のトップにいる人間は、あらゆることに精通しているのだろう。
家に帰り、昼食を食べてゴロゴロしていると、母親に「あたしもうご飯作りたくなくなっちゃったから、かわりに作ってよ」と命令された。最近ご機嫌の芳しくない母親の命令には逆らえない。さらに、あいにくぼくは気が狂うほど暇だったので、母の命令にしたがうことにした。
とはいっても、食後にすべきことといえば、まずは昼寝である。たっぷりと睡眠をとってから、ぼくは夕食のメニューを考えた。料理など高校生までは全くしたことがなかったので、僕が作ることの出来るものなどたかが知れているのだが、その中でも簡単そうで見栄えの良いものを選んだ。グラタンと、サンマのアヒージョである。
ぼくはまたもや自転車をこぎこぎ、いなげやに向かった。そして、買い出しをすませるとYoutubeでレシピを見ながら料理を始めた。
料理というのは勉強に似ている。レシピという名の参考書に従いながらも、ある程度は自分の裁量で料理しなければならない。一見ただの機械的な作業のように思えるが、実は創作的な営みなのである。大さじも小さじも家にはないので、自分の感覚で判断しなくてはならない。それに気づくと、なんだか料理をするのが楽しくなってきた。
結果的に、そこそこ見栄えの良いグラタンと、アヒージョを作ることが出来た。味もなかなかのものであった。
大学の4年間というのは、こうしたことを学習するためにあるのかもしれないとぼくは思った。
明日は待ちに待った釣行である。明日は天ぷらにしようか唐揚げにしようか、そのことばかりを考えて、寝不足になってしまいそうだ。
追伸 釣りバカ日誌を読んでいるが、全然釣りをしてくれないのでアンチになりかけている、