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クリエイターに知ってほしい国家資格「知的財産管理技能検定」

フリーランスのグラフィックデザイナーをしているわかなです。普段は企業からの依頼でデザインをしたり、Canva公式クリエイターをやっていたり、デザインの講師をしていたり、イメコンのフリー素材を配布していたりするのですが、

先月、知的財産管理技能検定3級の試験を受け、合格しました!(拍手!)

知的財産管理技能検定(略して知財検定)は知的財産、つまり著作権や特許、商標などの知識やスキルを問う試験で、
個人的には、デザイナーやクリエイターはもちろん、もはやこれ全国民知っといたほうがいいんじゃない?!と感じました。(個人の感想です)

そこで、知財検定とはどんなものか、どんなふうに勉強したか、受験してよかったことなどをまとめてみました。


「知的財産管理技能検定」とは?

知的財産管理技能検定は 知財マネジメントスキルを測る国家試験で、3級、2級、1級があります。
合格すると「知的財産管理技能士」という国家資格が与えられます。
↓知的財産管理技能検定公式サイトはこちら
https://www.kentei-info-ip-edu.org/

実は、私たちの生活は知的財産に囲まれていると言っても過言ではないかも。 例えば、マンガや映画、ゲーム、洋服のブランド、家電や文房具、医薬品、果物や野菜など…
こんなものにも関係あるの?と思うかもしれませんが、実はいろんなものに知的財産権があったりします。

知財検定では、これら知的財産に関わる法律、著作権法、特許法、商標法、意匠法などについての知識を問われます。特にデザイナーやクリエイターには関わりが深い内容だと思いますし、SNSやメディアの多様化で誰もが発信者になれる今、おおげさでなく義務教育で学んでも良いくらいのことだと思っています。

なぜ受験しようと思った?

近年、SNSやニュースなどで著作権や知的財産のトラブルをよく目にするようになり(トレース問題とか、原作改変とか…)、世間的にも注目度が高まっているなぁと感じていました。 そんな中、SNSで「知的財産管理技能検定」のことを知り、興味を持ちました。

私はデザインを生業にしており、まさに知的財産を扱う仕事。自分の仕事にも密接に関わる著作権や、商標権や意匠権など、なんとなく理解していたつもりだけど、きちんと学びたいと思い、受験してみることにしました!

実際に勉強を開始してみると、
「自分の成果物を守るにはどうしたらいいの?」
「知的財産を侵害されたら、もしくは侵害してしまったら、どうなるの?」
というような、実務に役立つ知識を学ぶことができ、これまでより自信を持って、安全に仕事ができるようになった気がします。

どんな問題がでるの?

試験では一体どんな問題がでるのか? 過去問題を引用してみます。

ア~ウを比較して,著作物を引用するための要件として,最も適切と考えられるものはどれか。
ア 引用される著作物が公表されていること
イ 引用される著作物の著作権者に通知をすること
ウ 引用される著作物が営利目的のものでないこと

第48回 知的財産管理技能検定 3級 学科試験 問8

答えはどれだと思いますか?

こちらは著作物の引用要件を問う問題。
画像や文章の引用はSNSなどでもよく見かけますが、他者の著作物を引用する場合、要件を満たしていなければ「引用」とはならず、著作権の侵害になる可能性があります。 引用は「営利目的でなければOK」「引用元を記載すればOK」と認識されている方もいるかもしれませんが、実は誤解です。
非営利だったとしても、引用元を記載していても、要件をきちんと満たしていなければ正しい引用とはならないのです。
ちなみに、この問題の答えは「ア」です。

ちなみに知財検定の試験は学科と実技に分かれており、各30問ずつ、合わせて60問あります。 実技といっても何かするわけではなく、基本的にはすべて文章問題です。実技の方が応用問題的な感じで、ちょっと長文を読んで判断するような問題があったり、選択ではない問題があったりします。

どのように勉強したの?

勉強期間は4月から7月までの3ヶ月半くらい。下の4つを使って、独学で勉強しました。

  • 公式テキスト(書籍)

  • 公式の過去問(無料ダウンロード)

  • 問題集(書籍)

  • YouTube(動画)

私は本当に勉強が苦手でして…なので「ほんの数分でも、毎日何かしら手をつける」という小さな目標で勉強を続けました。

勉強を開始した4月は、とりあえずテキストを購入して一通り読みました。一日数ページずつ、苦にならないペースで。
テキストは、こちらの公式のものを使いました。

同時に現状の知識を把握するために一旦過去問を解いてみたりしました。
過去問は知財検定の公式サイトから過去3回分の問題と正答を無料でダウンロードできます。ありがたい!

https://www.kentei-info-ip-edu.org/gakushujoho/kakomon.html

この時の正答率は60%前後。当たり前ですが合格ラインには届いていません。
著作権や商標などについては仕事柄なんとなくの知識があったのですが、特許法や種苗法、また国際条約関連についてはまったくの無知だったため、本当に1から覚えていくことになりました。

5月に入ってから追加で問題集を買いました。テキストと同じ会社が出しているものです。

公式サイトの過去問だけでもいいかなと思っていたのですが、解説がないので間違えた問題の見直しが難しく、やっぱり解説がある問題集は必要だなーと思いました。
6月にかけて問題集をちょっとずつ進めました。目標は一日一問、くらいの超低い目標でやってました。笑

7月に入ってからやっと焦ってきたのですが、ちょうど仕事が忙しくなってきてなかなか時間がとれず…。
直前一週間はがんばって毎日、過去問30問を解くようにしました。 過去問の解説を読んでもなかなか理解できないところは、YouTubeで解説で見ると理解しやすく覚えやすかったです。 村井Pさんには本当にお世話になりました…!

問題集をちまちまやっていたのがよかったのか、この時期の過去問はだいたい80%以上の正解率になり、満点をとれることもありました。

そして、結果は…?

試験日は7月21日、そして合格発表が今日8月29日でした。
冒頭に書いたとおり、結果は見事合格でした!
正答率は学科が93%、実技が83%という結果でした。合格基準は70%以上なので、なんとか合格できていてほっとしました。

受験してよかったこと

最後に、デザイナーの私が、知財検定を受験してよかったことをいくつか挙げてみます。

①知財スキルを公的に証明できる

「知的財産管理技能検定」に合格すると「知的財産管理技能士」という国家資格が与えられます。

「知的財産の知識・スキルを持っているよ」ということをわかりやすく示せるのは、デザイナーとしても強みになるのではと思っています。いちおう国家資格なので、履歴書にも書けるのかもしれません。

②安全に仕事できるようになる

デザイナーは多くの知的財産を扱う仕事なので、(悪気はなくても)他者の権利を侵害しないように気を付ける必要があります。勉強中も実務に即した問題がでてくるので、普段の仕事と照らし合わせて、トラブルになりそうな場面や、万が一トラブルになったとき(損害賠償や訴訟など)のことが想像しやすくなりました。

例えば素材やフォントを使うときに「著作権を侵害する使い方になっていないか?」と考えたり、ロゴやキャッチコピーが「他社の商標権に抵触していないか?」と調べたり、今まで以上に気を付けるようになりました。

③契約書や法律が(ちょっとだけ)怖くなくなる

個人事業主をやっていると、業務委託などで契約書を交わすこともあると思います。契約書を読むのって大変で、私は苦手です。

例えば契約書の中に、成果物の知的財産権について書いてあることがあります。「成果物の著作権を譲渡する」「著作者人格権を行使しない」といった契約になっていたら、自分の制作物あっても納品後は自由に使うことができないかもしれません。デザインを勝手に改変されてしまったり、自分のポートフォリオにも掲載ができなかったり、ということが起こり得ます。
仕事内容により著作権の譲渡が必要な場合もありますし、納得の上だったらまったく問題はありませんが、よくわからないままサインをするのは避けたいところ。
知的財産の知識を持っていれば、内容をきちんと理解し、場合によっては契約内容を交渉することも可能になります。
(上記はあくまで一例ですので、ご参考までに…)

また、試験勉強中に法令文を読むことも多々あったので、法律を読むのも前ほどは抵抗がなくなりました。(完全に読んで理解できるようになったわけではないですが)

※とはいえ必要な場合は必ず弁護士や弁理士に相談してくださいね!

いま、社会で役立つ資格

以上、私が知財検定に挑戦した感想をまとめてみました!今回無事に合格することができましたが、今後も法律は変わっていくと思いますので、勉強は続けていかなければと思っています。

知的財産への関心が高まっている今、知財検定は本当に社会で役立つ内容だと思うので、もっと多くの方が知財検定に興味を持ってくれたら嬉しいな〜と思います!

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