最南の白い砂漠 〜南極について私の思う事〜
宇宙よりも遠い場所
皆さんは2018年に放送されたアニメ「宇宙よりも遠い場所」を知っていますか?女子高校生たちが南極を目指して奮闘するアニメです。
このタイトルは「宇宙には数分でたどり着けるが、昭和基地には何日もかかる。宇宙よりも遠いですね」という毛利衛さんの言葉が元になったタイトルです。
そんな宇宙よりも遠い南極とはどんな場所なのでしょうか。一般的に南極に旅行する事って想像がつきませんよね。そんな南極という場所について語っていこうと思います。
南極の基本のQ&A
南極は旅行先として選ばれる事は少ないと思います。なので知らない事や、他の国とは違う面白い違いが多くあります。そんな面白い南極の特異な点をQ&A形式で解説していきます。
南極はどこの国の領土ですか?
南極はどこの国の領土でもありません。
南極は南極条約(1961)によってどこの国にも領土が属さないとされています。南極条約ではその他にも、軍事利用、核実験の禁止や科学調査の自由などを定めています。
南極の基地について教えて下さい。
南極には40以上の基地が世界各国によって建設され稼働しています。
日本の基地は有名な昭和基地の他に、「ドームふじ基地」「みずほ基地」「あすか基地」が存在します。
「みずほ基地」「あすか基地」は現在すでに閉鎖されてて、雪の下に埋没しています。「ドームふじ基地」は氷床深層掘削のために建設され、氷床コアの採掘が終了した今は運用を停止しています。
南極点はどこにあるのですか?
南極点は地球の南緯90度にある地点を指しています。ですが常に留まった場所にあるわけではないんですよ。
南極点は大陸移動や時期運動によって常に移動しています。なので南極点は継続されて観測していて、毎年元旦にジオグラフィック・ポールという標識を設置します。
南極点付近にはアメリカの基地「アムンゼン・スコット基地」があり、100人以上が基地の運営や、天文学や気象学などの研究をしています。
南極を発見した人は誰ですか?
実は南極を発見した人物は特定されていません。古代ギリシャやポリネシアの伝承などに南極大陸と思われる内容があり、古代の時代から人々が到達していた可能性があります。
その後イギリス海軍やロシア海軍などがほぼ同時に南極大陸を発見します。その後はジェイムズ・クラーク・ロスやロバート・スコットなどが南極探検を行いました。
その後1911年にロアール・アムンセン率いるノルウェーの探検隊が初めて南極点に到達しました。その後は白瀬矗などの日本人探検家も南極を探検しました。
南極の不思議
白い砂漠
南極の降水量をご存知でしょうか?南極の内陸部の降水量は年間50mm程度だと言われています。これはサハラ砂漠と同程度の降水量です。
見かけに比べて南極は非常に乾燥している環境と言えます。そのため南極は別名「白い砂漠」とも呼ばれているのです。
ボストーク湖
南極には多くの氷底湖が存在しています。その中でも最も大きなものがボストーク湖です。この湖は約1,500万年間外界と隔離されてきました。本来であれば凍ってしまうような温度ですが、上の氷の重みによる圧力で、湖は液体の状態を保っています。
木星の衛生「エウロパ」をご存知でしょうか。その星の表面が氷に覆われており、木製の潮汐力により内部には広大な液体の水が存在していると言われています。
まさにボストーク湖にそっくりの環境ですよね。実はボストーク湖では新種のバクテリアなどが多く発見されたおり、氷底湖のような環境でも生物が存在できることを示しています。
南極という地球の局地での発見が、木星の衛星「エウロパ」という遠い宇宙の星の研究につながるというのはどこか感慨深いものがありますね。
巨大なオゾンホール
南極では春から初夏にかけてオゾンホールと呼ばれるオゾン層の大きな穴が発生します。これは社会科などで習ったと思うのですがフロンガスなどがオゾン層を破壊する事によって発生します。
オゾンホールは地上に注ぐ紫外線の増大を招きます。そのため南極の氷が激しく溶け出したり、人体に皮膚がんなどの悪影響を及ぼす事もあります。
実はオゾンホールを発見したのは忠鉢繁という日本人の南極の観測隊員でした。彼は昭和基地でオゾン層の観測をしていた時に南極上空にオゾン量の少ない部分があることを発見しました。彼の発表は初めは受け入れられませんでしたが、シャーウッド・ローランドの実験などによりフロンによるオゾン層の破壊が証明され、オゾンホールの存在が明らかになりました。
南極は地球”昔”の姿を伝えてくれるだけでなく、地球の”今”を私達に示してくれています。私達はもっと南極から多くの事を学ぶ必要があるのではないかと思います。
南極への思い
南極は不思議で魅力ある地域だと思っています。南極はただ寒いだけの大陸ではなく、過去の地球を冷凍庫のように凍らせて閉じ込めたカプセルのような地域です。それだけでなく地球の状態を私達に伝える温度計のような地域でもあります。
南極にたどり着くまでには南極環流と呼ばれる大きな波と風が吹き荒れる海域があります。その緯度から通称「絶叫する60度」とも呼ばれる地帯です。
過酷な環境に阻まれた先には、冬には平均気温マイナス50~60度にもなる極寒の大陸が待っています。
そんな恐ろしくも大切な大陸に、私は畏敬の念を抱いています。いつか南極のその白い砂漠を自分の目で見たいものですね。