詩/知らない誰かが
知らない誰かが
置いていった
カップ珈琲とペットボトル
空いた駐車場の
空けた運転席のドアの辺りに
ぽつんと
喉が乾いたように立っていた
知らない誰かが
困るだろうと
知らない誰かが
それを拾った
見渡せる場所に
ごみ箱は見当たらなくて
知らない誰かは
それをそのまま縁石向こうの
ブロック塀の足元に寄せた
ふたりの佇まいはまるで
仲良し猫の香箱座りのよう
どんなものでも
落ち着く場所に居たいものだ
そんな風に呟いたのは
僕の中の 知らない
誰かのようです。
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