Z世代はメンタルが弱いのか?②怒られることに対する抵抗感
前編では、Z世代が退職代行を使う理由として『辞めさせてもらえない職場環境』『教えてもらえない職場環境』という、Z世代のメンタル以上に職場環境の問題の方が浮き彫りになってきました。後編では、よりZ世代のメンタル面に焦点を当ててみたいと思います。
Z世代特有の傾向:リスク回避反応
独自調査にて退職代行利用者のみならず、その元同僚や、「退職代行を使われた側」の方にもインタビューを行いました。双方の立場から共通してZ世代の「回避的」ともいえるメンタリティへの言及がありました。
「怒られることへの恐れ」「意見することへの忌避感」など、共通して「回ストレスを避したい」というが傾向が読み取れました。中でも「怒られたくない」という感情について考察をしていきます。なぜ、Z世代は怒られたくないのでしょうか。
学校でも家庭でも怒られていない
インタビューから、学校や家庭で怒られないようになっているのでは?という仮説が浮かび上がります。
戸塚ヨットスクール事件に象徴されるように、虐待や体罰を”しつけ”だとして厳しく指導していた昭和的時代がありました。そこから平成時代になると「ほめて育てる」や「叱らない教育」が聞こえ始めました。「モンスターペアレント」という言葉が生まれたように、学校で適切に怒る指導よりも、子供に過剰に配慮する指導が増えていると考えられます。
実際に、セーブザチルドレンが2万人を対象に行った調査では、2017年から2021年にかけて、体罰を容認する大人が約6割から約4割へ減少したとも発表されています。行き過ぎたしつけからバランスの取れた教育に変化している、と思いたいところです。しかし、現実には、学校と家庭がしつけという役割の押し付け合いをしているのではないでしょうか。
親子仲が良くなっている
しつけについて、家庭の状況はどうでしょうか。母の日.comが20〜60代の約3000人を対象に行った調査によると、母の日に「直接会って感謝を伝えたい」人が過去3年間で最多。母の日にかける平均予算も3,000円未満がここ数年で大幅に減少。10,000円以上を検討している人が過去5年間で最多だったとのことです。
物価高で消費控えが囁かれる中で、母の日のギフトの中でも高額な価格帯での出費検討が増えていることからも、親子仲が良くなっていることが読み取れます。親子仲が良くなっているのはもちろん良いことですが、裏を返すと、学校同様に、家庭での厳しいしつけは減少している可能性があります。
怒られることに慣れていない
学校や家庭での叱責・しつけの厳しさが欠かかれていく中で「怒られる」という体験はZ世代にとって、「未知なこと」「慣れていない」ことです。実際に、インタビューではそのようなリスク回避的な行動の傾向も感じました。
Z世代のメンタルが弱い原因が「怒られ慣れていない」であるとすれば、現実的な解決策は「慣れる」ことなのかもしれません。
Z世代の特徴よりも「異なる背景」を理解することが重要
私たちZ世代をの生い立ちや外部環境が30~60代と大きく異なっていることがわかります。上の世代の読者の方にお伝えしたいのは、「Z世代は生い立ちの環境が異なった。その結果、メンタルが弱い傾向が生まれた。」という背景の違いを理解することが重要だと感じます。
調査概要
若者の研究所について
Z世代の価値観をZ世代が深掘り。“ディープ”な調査レポートを毎月発行
高校生・大学生による若者のシンクタンク・コミュニティである「若者の研究所」では、毎月、様々なテーマに対し、Z世代の思考・価値観・行動の傾向に迫る調査レポートを発行しています。Z世代は1996~2010年生まれ(現在13〜27歳)の若者を指し、日本の総人口の約14%を占めています。一方で、Z世代は世界人口の約32%を占め、Y世代人口を上回っています。日夜、Z世代調査など、Z世代に関する情報は溢れています。しかし、価値観が多様化する中で「Z世代は〇〇である」と一括りに理解することが難しくなっています。「若者の研究所」は、彼らの行動や価値観をより深く掘り下げた独自調査を、Z世代の当事者から発信していきます。
サービス紹介
「若者の研究所」を運営するWeiden HausではZ世代をテーマとしたコンサルティングを行っています。
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本レポートの著者について
Kyoka Nakamura | 中村 京香
株式会社バイデンハウス
若者の研究所 | 学生研究員