#006 「映像制作現場のリアルを知る」に参加して
ERIFFの協力団体である稲門映像人文化人ネットワーク(VCnet)の、11月26日に開催されたオンラインイベント「映像制作現場のリアルを知る」に参加しました。ERIFFは本イベントのプレイベントにも参加し、映像業界の今とこれからについてVCnetとともに学びを深めています。
本イベントでは喜劇役者の伊東四郎さん、俳優の羽田美智子さん、プロデューサーの沼田通嗣さんをゲストとして、ドラマや映画の制作現場のリアルが語られました。
コロナ下でのドラマ撮影の現状や映像業界の行く末など話は多岐にわたり、参加者も巻き込みながらの大盛況のイベントでした。ここでは特に印象に残った3つの話をご紹介します。
コロナ下でのドラマ撮影現場
伊東さん、羽田さんが共演したドラマシリーズ「おかしな刑事」ではコロナの影響で2か月間撮影が止まってしまったそうです。
アクリル板を役者の間に入れて後の編集でそれを消したり、正対するのではなく横並びで撮影したりするなど、視聴者を心配させない試みを行っているとのことでした。
メイクさんやスタイリストさんは手袋をする、抗体検査をしてから現場に行くなど、各自がコロナに細心の注意を払いながら撮影を続けているようです。
有料配信サービスの登場
Netflixを始めとする配信サービスの登場、若い世代を中心にテレビを持たない人の増加を背景としてテレビドラマ業界は変化を迫られています。Netflixのランキングトップ10を韓国ドラマが多くを占め、日本はアニメでランクインするものの、ドラマはほとんどランキングには見当たりません。
ドラマ作りをビジネスにしていかないと生き残っていけない、そう語るのはプロデューサーの沼田さんです。有料配信サービスはマーケットが世界であるため、ドラマや映画の制作予算が桁違いに多いそうです。配信サービスで世界中の多くの人に見てもらうことは嬉しいことであり、ビジネスとして成功するといいます。
羽田さん、伊東さんが最近出演した舞台は配信されていたそうです。舞台を見に来れない人も見ることができるため、配信されることはすごくありがたいことだと伊東さんは話します。
世界で通用するドラマ
伊東さんの出演した「おしん」、羽田さんの出演した「花嫁のれん」は世界的にヒットするドラマとなりました。両ドラマが世界で受け入れられた理由について、沼田さんは「共感と共通体験」を挙げます。
「おしん」の親子の情、「花嫁のれん」の嫁姑の問題は世界共通であり、共感することと共通体験が上手く描かれていることが世界で受け入れられたといいます。
これから映像業界を目指す人へのメッセージ
最後に、コロナ下の難しい状況の中で映像業界を目指す人々に向けて、伊東さん、羽田さんからメッセージをいただきました。(語尾等編集を加えています。)
伊東さん:若い人に来てもらわないと空白ができてしまいます。若い人の感覚は大切にしていくので勇気をもって飛び込んできてください。
羽田さん:震災やコロナ、戦争など一人の力ではどうにもならないことがあったとき、エンターテインメントによって一瞬でも日常の苦しみから逃れることができます。またいろいろな世界を映像によって疑似体験することができ、疑似体験によっていろいろな人に共感することができます。この時代、新しい時代のどちらも良いものであり、この2つが合わさったとき倍々ゲームのように良い効果が生まれるでしょう。
(執筆:早稲田大学国際教養学部2年生 吉田凪)