2024年4月からアトピー性皮膚炎の全身治療についての薬剤価格が変わります
こんにちは。わかばひふ科クリニックです。
YouTubeやTwitterなども行っていますので、興味があったらフォローくださいね。
小児皮膚科が専門ですが、最近は成人のアトピー性皮膚炎の治療についても行うことが増え、むしろそちらで記事にすることが増えてきました。
いやあ治療法がここ5-6年で一気に増えましたからねえ。
今回のお話は薬価改定のお話です。
4月1日からお値段が変わりますので、アトピー性皮膚炎の全身治療を行っている方はあらかじめのご確認を推奨します。
薬価ってなんですか?
薬価とは薬剤のお値段のことですね。
こちらは国が指定するのですが、この値段は毎年変わります。
一般的には4月1日に、多くの場合は値段が下がるのですが、どうも最近は値段を上げる方向で動くこともあるようです。
今回も4月1日に改定があるのですが、例年とは違う動きもありますのであらかじめ確認したほうが良さそうなんです。
なお今回はアトピー性皮膚炎の全身治療薬についてのお話のみです。
他の病気についても値段は変わるのですが、そちらについてはその分野に詳しい先生にお任せします。
また塗り薬についても薬価の変更は有ると思いますが、値段が全身治療薬に比べて絶対額が少ないので、そちらについては割愛します。
注射薬の改定額
まずは注射薬です。
こちらの動きが正直予想外でした。
デュピクセントは+5.8%です。
この値上げは適応拡大によるもの。昨年より生後6ヶ月以上に適応が拡大したので、そのために薬価が上がったという事情があります。
まあ子どもに使えるお薬というのは評価ポイントになるのは理解はできるのですが…
ミチーガは-0.8%。こちらは経年によるものなので、まあ妥当かな…
アドトラーザは0%。変化無しです。こちらも昨年開始されたものですからまあ妥当ですよねえ。
実際の薬価について確認していきましょう。
割合としての変化はそこまではなさそうですが、なにせ単価が高いですからねえ…
こちら、ご確認ください。
なお赤字が1ヶ月あたりの自己負担額。3割負担の方での計算になります。
…デュピクセントは1本あたり1千円程度の値上げになっているのですよ。
1ヶ月あたり2千円(2週間間隔と仮定して)の増額です。
流石にこの金額は無視できないですよねえ。
ミチーガはほぼ変わりなし。
アドトラーザは全く変化ありません。
次は飲み薬(内服薬)ですね
内服薬の改定額
次は飲み薬です。
JAK阻害薬の内服が数種類が出ていますが、いずれも大幅な薬価改定がありました。
改定率は-15%。これは結構大きな変化幅ではあります。
では実際の薬価について確認していきましょう。
容量が違いますが、それは成分の違いによるものですので、赤字が標準処方量の薬剤になります。
同様に1ヶ月分=28日分の薬価です。30日分ではないのでご注意くださいね。
…オルミエント、リンヴォック、サイバインコいずれも大幅な減額がなされています。
それぞれの薬剤は1ヶ月あたり6-7千円程度の値下がりになります。
これもまた無視はできないですよねえ…
どのように動くのが一番いいのか?
現在治療中です。で、お薬も残っています。でも次の受診は4月以降です。どうしたらよいでしょう?という方もおられるかと思います。
そのような場合の行動の取り方ですが。
・まず主治医のクリニックに電話して相談しましょう
気をつけることはいきなり受診しないこと。まず電話で確認。
主治医のポリシー、病院のポリシーがありますので、それに沿った行動を取るようにしてください。また注射薬は投与間隔が決められています。その間隔よりも短い期間での投与については保険診療のルールとしてはNGなので、特に病院で注射を受けている人は絶対に守る必要があるのです。
飲み薬は待てば値段が下がるので、慌てる必要はないかと思いますが…
まあお薬をもらいに処方を受けるのが今月中であればその外来受診時に相談してみても良いかと思います。
わかばひふ科クリニックのスタンスについて
最後にうちでの考え方についてお話をしておきましょう。
なお、こちらは当院独自のものであり、他の医療機関を受診の方はその主治医の先生の意見、その病院の考え方に従ってくださいね。
デュピクセント
院内注射を行っている方の予約変更も承ります。しかし投与間隔は最低2週間となっておりますので、その期間以内となる日程への変更は不可です。
3週間や4週間間隔で注射をしている方の期間短縮は前回注射から2週間位内にならなければOKとします。
院外処方の方については、前回受診時からの損耗分に限り処方ができる形にします。つまり、その受診から3ヶ月分になるように処方することができます。したがって受診時には自己注射を行った製剤の廃棄バックを持参していただき、そこに入っている本数分を処方する形になりますので、ご注意ください。
ミチーガ、アドトラーザ
こちらはいずれも院内注射のみであり、薬価の変化もほとんどありませんので、以前と同様の対応となり、特別な対応を行うことはいたしません。今まで通りです。
オルミエント、リンヴォック、サイバインコ
院外処方のみとなりますね。3月中に薬剤が無くなる場合については受診時に、4月上旬までの処方量に短縮するか、以前と同様の日数を処方するかの確認を行います。その意向に沿う形での処方を行います。
4月以降分まですでに処方されている方については特別な対応を行うことはいたしません。
繰り返しになりますが、これはあくまでも当院で治療を行っている患者さんが受診された場合の対応になります。
それ以外の方についてはそれぞれの主治医及び病院に相談の上、処方を受けるようにしてください。
おわりに
薬価改定、なかなかニュースとして目に触れることは無いと思います。触れたとしても全体の価格になりますので、ざっくりとした数値しか出てきませんよね。しかし個々の薬剤については大きな変化が見られるものも有ります。ただ薬価改定は原則として毎年行われるものではありますので、その時期が近づいたら情報を確認してみても良いかもしれませんね。
この記事が毎日の治療の一助になれば幸いに思います。ではでは。
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