言葉にかかわる人におすすめ新書10選
先日、hoshikoさん(@noranekonikki)のツイートに触発されてこんなことをつぶやきました。
この十冊で人柄がバレたかどうかわかりませんが、好きな新書を選びました。今日の記事では、もう少し詳しく紹介してみたいと思います。
『日本語教室』(井上ひさし著)
2011年に新潮新書から出版された新書です。これは日本語教師必読の一冊ですと各所で言っていますが、本当に「日本語」について考えられる本です。しかも、面白いので、早く読めるというのがいいです。作中にあるのですが、
黒い目のきれいな女の子
は何通りの意味があるでしょうか。考えてみてください。そして本書で確認してみてください。
『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か』平田オリザ著
2012年に講談社現代新書から出版された新書です。これも劇作家の平田オリザが、コミュニケーションについて考えた一冊。以下のようなところにマーカーを引いていました。
「伝えたい」という気持ちはどこから来るのだろう。私は、それは、「伝わらない」という経験から来ないのではないかと思う。
この本を読んで「わかりあえない」「理解できない」「伝わらない」ということを当たり前だと思うようになりました。それは日本語を教える仕事をする上で大きな羅針盤になりました。
『読書力』齋藤孝著
2002年に岩波新書から出版された本。ずいぶん前に結婚してから、子供ができるまでの間に読んだ気がします。何度も読みました。
本は読んでも読まなくてもいいものではない。読まなくてはいけないものだ。
上記の引用でもお分かりのように、とにかく読書の必要性が強い言葉で書かれています。「文庫100冊、新書50冊」を推していてとにかくそれを読んだら、読書の筋肉がついているという本です。巻末についている文庫百選というおすすめリストは眺めているだけでも楽しいものです。
『心がフッと軽くなる瞬間の心理学』名越康文著
2010年に角川SSC新書から出版された本。当時参加していた読書会でメンバーが紹介していたので、気になって読んでみました。心が落ち込んだ時に具体的にどうしたら心がフッと軽くなるのか具体的な説明が多く、すぐ実践できそうでいいです。
「まず1日に1分だけ集中してください」ということなんです。「集中ってどうしたらいいですか?」って尋ねられた時、例えば、「昼食でご飯を食べる時、ひと噛みひと噛み全て意識してください」
自分にもできそうでしょう?その後、名越先生の講演会などにも参加してみたが、とてもおもしろかったです。
『知的生産の技術』梅棹忠夫著
1969年に岩波新書から出版された本です。岩波新書といえば、赤の表紙ですが、なんとこれは「緑」で古めかしさが漂います。筆者は京都生まれで京大の先生。専門は文化人類学とありますから、知の巨人ともいえるような方です。そんな筆者がPCのない時代にどのようにして知識を整理し、それを使って膨大な知的アウトプットをしてきたかということが書いてあります。
マーカーを追っているとこんな一文がありました。
人生をあゆんでいくうえですべての経験は進歩の材料である。とくに、われわれのように、知的生産を業としているものにとっては、これはほとんど自明のことである。
だから人生を記録しておきましょうというような話でした。
『禅的生活』玄侑宗久著
2003年にちくま新書から出版された本。確かこの年に相当なベストセラーとなったような記憶があります。ベストセラーになった数年後に読書会で読んだ本です。今では有名な「禅」という言葉を、広めた本だったんじゃないかなと思います。わたしも初めてこの本で「禅」という概念を自分の中に導入した感じがします。
可も無く不可も無し。理性的思考をはるかに超えて、自己の内部は無限の可能性を秘めて混沌としていると認め、そこから禅は発想を始めるのだ。
『伝わる!揺さぶる!文章を書く』山田ズーニー著
2001年にPHP新書から出版された本。いわゆる文章本です。でもとてもわかりやすくて、ライターになりたての時、取材依頼のメールをどう書いていいのかわからず、この本を頼りにメールを書きました。とても実用的な本であり、かつ哲学的な本でもあります。
わたしはこの本のp104の「根本思想」という考え方が好きです。もう引用するなら全て引用したくなるので、差し控えますが、文章というのは、テクニックではなく、今の自分全てでぶつかっていく行為なんだなと思いました。
『20歳の自分に受けさせたい文章講義』古賀史健著
2012年に星海社新書から出版された本。嫌われる勇気の著者がかいた文章本です。ちょうど昨日、古賀氏のトークライブを拝見していて、とても素敵な考え方をする人だなあと思っていたところです。
頭の中の「ぐるぐる」を伝わる言葉に”翻訳”したものが文章なのである。
とにかく、言葉にならないものを言葉にするのが書くということだということを教わりました。
『ゲゲゲのゲーテ』水木しげる著
2015年に双葉新書から出版された本です。ちょうど、朝ドラで『ゲゲゲの女房』を放送していたときでそれにあやかった本だろうと思いますが、ゲが4つもあるタイトル、しかもゲーテとかけてあるということに本屋で惹きつけられて買ってしまいました。読んでみたところとても面白かったので、十冊のうちに入れました。
これはゲーテが好きだという水木しげるがゲーテの名言を選んだ名言集です。だからと言ってはなんですが、とても読みやすいです。
否定的であることは無に通ずる。
今、パラパラとページをめくっていて、上記の言葉がいいなあと思いました。
『プチ革命 言葉の森を育てよう』ドリアン助川著
2014年に岩波ジュニア新書から出版された本です。本屋をうろうろしていたときに見つけました。それ以降、何度も読み、授業でも読みました。外国語を学ぶということについて深く考えさえてくれる本です。
本の後半で頑張って外国語を覚えたという人のインタビューがあるのですが、ロシア語を覚えたサーカス団の大島さんという人の話で、苦労してロシア語を覚えた末に、サーカスの熊に「たて!」と言ったら熊が立ったのをみて泣いたという話があって、それがわたしも泣きそうになる程感動しました。
以上です。
興味がある新書があれば、ぜひ読んでみてください!
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