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映画『プリズン・サークル』の感想

先日、オンラインで公開されていた『プリズン・サークル』を見ました。
予告編はこちらです。

月並みな言い方がもしれないけれど、本当に色々と考えさせられて、自分のなかで考えがまとまらなくて、感想を書こうと思うけれども書けずにいました。

この映画のもとになった本もあって、わたしはまだ本は読んでいません。

でも、4月15日金曜日のNHKラジオ『高橋源一郎の飛ぶ教室』で本と映画が紹介されていたのを聞きました。

映画のあらすじ

まず、この映画は刑務所のなかの受刑者を追ったドキュメンタリー映画です。刑務所ではあるけれど、「○○刑務所」ではなく、「島根あさひ社会復帰促進センター」といい、官民協働の少し新しいかたちの刑務所です。映画はここで受刑者が社会復帰のために回復するための活動であるTC(回復共同体)にスポットをあてています。

回復共同体というのはどんなことをするのかというと、とにかく話す、語るという印象でした。子供の頃のこと、周囲の人間関係の変化。果ては被害者とのロールプレイやお話を創作することまでやっていました。ひたすらに自分の気持ちを言葉にして出していきます。そして、その言葉に誰かが耳を傾けます。受刑者同士、支援者も含めて話すことと聴くことを繰り返していきます。

映画のかんそう

驚くことに、劇中で語られることには、従来の刑務所では私語は厳禁で受刑者同士が話すことはほとんどないのだそうです。

だからこそ、いかに「話す」「聴く」が人を回復させていくのかということがわかる映画でした。刑務所もただひたすらに罰を与えるところじゃなく「回復」ということにもっと重きを置いてほしいなあと思いました。

最近は「怒りは悲しみ」だと聞くことが多いのですが、本当にそうだと自分でも思います。怒りが自分のなかからどうしようもなくこみ上げる時、その底には悲しみがあると知ってから、怒りの感情の温度が下がることが多くなりました。

でも、それは自分が抱えてきた悲しみを「対話」という形で受け止めてもらえることが増えたからかなと感じています。

悲しみが人生につきものであるならば、悲しみを和らげる「対話」もまた人生には不可欠なのではないでしょうか。

もっともっと人々が自然に対話をするようになったら、今の世界のこの殺伐さが和らぎ、いい世の中になっていくのではないかと思わせてくれる映画でした。

では、また!


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日本語教師でライターが日常をみつめるエッセイです。思春期子育て、仕事、生き方などについて書きます。

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