教頭先生たちのICT活用の研修会
市内の小学校教頭先生たちの研修会の講師役を12月に頼まれました。今年度2回目で、前回は7月の夏休み前に、タブレット端末の持ち帰りが進むタイミングだったので、「なぜ持ち帰るのか」というテーマで話をさせてもらいました。
前回は次のような項目を伝えました。
・持ち帰りは必要(学びの連続性、タイピング等の継続、オンライン対応)
・保護者との連携(持ち帰りの意義、不安への対応、家庭での使い方のルール)
・教頭としての役割(タブレットの管理、ICT教育担当者への指導支援、保護者との連携)
さて、今回は、市内のICT教育の現状を確認し、もっと頑張ろう!教頭としてすべきことをやろう!と思ってもらうために研修内容を工夫しました。
実は、ICT活用指導力が全国最下位の島根県の中で、私の勤務する市は県の平均を更に下回り、足を引っ張っている現状です。何とかしたいという
私の想いをぶつけるのではく、現状をストレートに知ってもらい、低い理由を考えてもらったり、具体的に自校でどうすればよいかを相談することに時間をかけることにしました。
1.ICT活用指導力の各校の現状は?
まず、文科省が毎年行っているICT活用の実態調査結果(概要版)で、4部門全てで、ついに島根県が全国最下位になったというデータを示しました。そして、市の平均データ(これは公表されていない)を「教頭先生方だけに」ということで全て下回ってる数値を示しました。
次に、この調査項目や評価規準を具体的に紹介しました。さらに、これが肝なのですが、市内30校の県平均以上の学校のランキングを紹介していきました。全国平均以上が5校、県平均以上が8校、(以上は実名で発表)残り18校は平均以下(学校名は伏せて)というデータを示しました。つまり、自分の学校がどの状況にあるかをまずしっかり把握してもらうことにしました。
2.なぜ県や市は低いのか?
ICT活用指導力が低い理由を考えてもらう時間をとりました。私が説明するより、「自分事」として考えてもらうことをねらっていました。
教頭先生たちから出てきた理由は以下の通り(全体の前でスライドに書き込んでいきました。)
・できるのに、評価が低い。
・教員の年齢が高く、中堅教員が少ない。
・得意な教員がいたらよいが、少ない。
・ハードが弱い。(windowsで立ち上がりが遅い、回線スピードが遅い)
・職員の使おうという雰囲気が少ない。
・島根県の保守的な県民性
・県内の都市部が低いから。
よく考えて、本音を言ってもらったと思います。ハード等の環境面の遅れが大きいとは思いますが、教職員の意識の低さも指摘してもらいました。
いいぞ。でも、「校長の意識が低く推進役を果たしていない」や「県教委にビジョンがなく、リーダーシップを発揮していない」という私の想いはここではグッと心の中に秘めたままにしておきました。
更に、評価をきちんとしていない点も指摘してもらったので、この後、チェックリストの「ものさし」の具体例を紹介しました。4年前に見直しがされたのですが、以前の厳しいままで評価している傾向も残っていることを理解してもらいました。(今年度の年度末の調査時にはしっかり見なくては…と思ってもらいたいと考えていました。)
3.教頭先生の本来の役割について
本来、管理職は、学校のICT推進のための最高責任者だという話を文科省の「情報化の手引き」から引用して示しました。そして、「情報化に向けた管理職のチェックリスト」を実際にやってもらいました。
ICT教育担当に任せておけばよいのはなく、意識の低い校長には「助言」をするのが教頭としての役割ですよ!そう願いながら教頭先生たちの作業を見守っていました。
4.教頭として何をすべきか(情報交換)
最後に時間をとって、教頭先生たちの情報交換の場をもちました。タブレットの持ち帰りやドリルの活用、校務のICT化を進めている学校には先進事例ということで、話をしてもらうように事前に伝えておきました。
マイナスの意識ではなく、プラス思考で具体的なアクションを起こしてもらいたいと考えていました。
基本的に教頭先生は各校に1人。ベテランの教員も多い職員室の中で、コミュニケーションをとりながら、校内のICT教育の推進を図るためには、孤軍奮闘ではなく、教頭先生たち同士の情報交換や相互の相談体制が大切。そういう本音の言える情報交換の場が必要だと思い、教頭先生同士の情報交換をしてもらいました。
5.最後のメッセージ
研修の最後に私から次のメッセージを伝えて終わりました。
いろいろな課題や問題を抱えた学校現場で、本当に先生方はよくがんばっていらっしゃいます。特に、教頭先生方の職員室の担任として大奮闘していただいている姿に頭が下がります。
しかし、やるべきこととして「ICT教育」の順番がなかなか上がらないのも本市の課題です。
上から「しっかりやれ」と教育委員会が言うだけでは改善されないと私は思っています。先生たち自身が「これからを生きる子どもたちのために必要だ」「使うのは難しいと思ったけど、やってみたら便利だ」と思うような雰囲気を日頃から職員室でつくっていくことが大切です。その役割は、校長先生ではなく、教頭先生であるみなさんにかかっています。
どうか、○○市の子どもたちや先生たちのために、ICT教育の推進にも力を発揮してしてください。
さあ、これから挽回です!
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