「独身だけど、今日から親になります」 子供の感情を抱えて大人になった人への日記-1
はじめに、これは誰かを責めるために書いた物ではありません。過去に起きた事だから読めば必ず誰かの心は波立つでしょうけど…
これは私と、似たような経験をした人の心の解放を目的に書く事をご承知ください。
オチを先に言います。
私は今日から親になります。幼い時に傷付いたまま体だけ大きくなってしまった子供の「親」に。
これはそんな私の“息子”のプロフィール。
「従えないなら、ここから出て行け」
この言葉は彼の(私にとっても)人生にとって大きな影響を持つ言葉。
初めて聞いたのは、小学生になる前。
両親から言われました。
当時の親の心の内は幼児の彼にはわからない。今、当時の両親と同年代になった私には、ある程度想像する事はできるのですが…。
趣旨がズレるから、今回は大人の事情はわきにおきます。
私の”息子“が思った事を一言にするなら「卑怯だな」と言う感情。
「一寸の虫にも五分の魂」と言うことわざがあるが、幼児とは言え僕は人間(のはず…)。
僕はわがままも言うが、それなりに意見もある。
弟を叩いて泣かせれば「お兄ちゃんの方が強いんだから手加減しなさい!」と言う親だけど、僕が違う意見だったら、腕力や論理的思考、知識、経験、経済力で敵わない、幼児の僕には平気でover kill(=許容量をはるかに超える攻撃)をするのか…。
「痛い」「やだ」でしか表現できなかった彼の心境を私の語彙で表現すると、こんな感じでしょう。
その時の彼は泣きながら許しを乞うか、別の大人に頼るために「亡命」するか、全部諦めて死ぬ、その3つしか選択肢はなかったのだそうです。
思春期になってからは衝突の回数が増えたそうです。
親にも彼に対して色々して欲しい事はあったでしょう。しかし彼にも自我があります。
やりたい事と死んでもやりたくない事があったし、得意な事も苦手な事もあったでしょう。
衝突も増えるから、当然家から出て行くことも増えました。
その時の彼は「自分の信念」が理由で戦っているような気持ちだったそうです。
「自分の信念での抵抗に他人を巻き込みたくない」と思ったのか、彼は友達の家に泊まるのではなくストリートチルドレンになる事を選びます。
居場所を知られたくないから学校には行かなくなった。金は無い。時間は持て余す。そして喉は乾いて腹は減る。
そういった問題を解決するために必要な物は盗んで手に入れました。
中学生の子供が夜道を歩けば目を引くし、体を休める場所も必要。
それはビルに不法侵入して確保したようです。
自分の身はどうやって守ったか…覚えてないとの事。
どうしても思い出せない事もあるようで、思い出そうとしてもそのページだけないような感覚との事。
とりあえず、今は置いて置きます。とにかく「人間としての自由意志を捨てる位なら戦って戦って、侍として討ち死にしてやる」位の事を思ってたそうです。
矛盾してる?確かにそうかも。
とにかく家に帰る時は大抵、警察に捕まるか、飢えて動けなくなるかのどちらかでした。
高校になってからは、敢えて自分の意見を外に出さない事を学びます。
それでもたまに爆発する感情。
彼は一刻も早く経済的に自立して、どうやって家族と縁を切るかを考えていたとの事。
そして彼は就職し、家を出たが、色んな試練があって保護が必要になりました。
彼は今私と同じく、キリストを遣した神が「自分の義理の父」と言う信仰を持っています。
オリジナルの言語で「”義理“の父」と言った場合、血縁と違って自分の意思で選んだから、2度と切れないと言うニュアンスも含んでいるとか…。
その話はまたの機会に。
しかし人間相手だと、どこに行っても「従えないなら出て行け」は彼に付き纏います。
それを言う相手が、親だったり上司だったり、先輩だったり、牧師だったり…状況によって誰かに変わるだけの事。
確かに人は自分の事を理解し受け入れてほしいし、要求はするべきだと思います。
でも人を受け入れる為に自分を変えたいとは思っていないのが、人情。
「黒人の命が大事」だと世界が叫んでる今だから敢えて私は言いたい。
「大切じゃない人(意見)などないし、完璧など人間には無い」と。
できる事は自分の主張をして、相手の主張を聞いて、着地点を探す事なんだと思います。
そう言う“息子”の声を、大人になった“私”が親として伝えていくため、この物語を書き進めます。
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