情けは親のためならず
私は、ほぼ毎日自宅で自ら料理をします。これは大袈裟に言えば、私のライフワークでもあるのです。
その日、その日……二度と繰り返すことが出来ない一瞬……刹那の連鎖の波間に漂う時に、自分の好みに意識の焦点を当て続けることを、まさに「一期一会」ととらえているからです。
もちろん食材の在庫の都合もありますが……だいたいは「今日は○○が食いたい!」と、頭に浮かぶのですが、ほんの稀にどうしてもパッと思いつかないことがあります。
そんな時は自身のクリエイターとしての能力やコンディション……さらには運気が低迷していることが自覚でき、より一層ネガティブな気分に陥ってしまいます。
打開策として思い切って外食することも考えるのですがそれが一時の気休めでしかないことは重々わかっています。
でもまあ……そんなことはだいたいひと月に一度あるかないかですから、さほど大きな問題ではありません。
それよりも、毎日の食事ってホンマに大切だと思うのです。
そのことに心底から気づかされたのは、実は、今は亡き父と萩の山奥の古民家で暮らした5年あまりの歳月……経験のおかげなのです。
子を思う 親の数倍の 子の心
で、老いた父親の晩年の日々に、ちょっとでも美味しくてカラダに良いものを食わせようと工夫して取り組んだ習慣が、ちゃんと我が身に返ってきたわけです。
これぞまさしく、
「情けは親のためならず」
の、実践でございます。(微妙にちゃうけど……。)
昨日、久しぶりに電話をかけてきてくれた同級生の一言めが、
「元気にしてるか? ブログ見てたら、たぶんワシらの同級生の誰よりも、山口に行ったお前がいちばん毎日ええもん食うてるなぁ……」 でした。
私の答えは、
「そら、地方都市には、東京や大阪みたいに、数も質も飲食店が充実してないかわりに、新鮮な食材が安う手に入るさかいに、結果的に自分でこさえて、それがやっぱり人生でいちばん贅沢なんやで、マジで」。
実は今日もスーパーで、大好物のナマコを衝動買いしました。
萩の赤ナマコ 、ずっしり重い一袋が980円。帰宅後、ゐの一番にさばいて冷蔵庫に寝かせました。
メニューとしてのナマコ はイレギュラー。予定には入れれません。いつも売ってるとは限らないからです。
メインは既に決まっていました。
タンドリーチキンと春キャベツのポトフ。とにかくそんな気分だったのです。くちびると舌と胃袋が……。
キャベツは丸ごと、芯を焼きリンゴみたいにくりぬき、そこにタマゴとスパイス…オレガノとか…で味付けした合い挽きミンチとみじん切りしたタマネギ、さらにチーズをつめて圧力鍋に敷き、回りに人参やじゃがいもやソーセージを配置して、水を入れて加圧〜減圧〜再加熱と味の調整。
同時にタンドリーチキンを仕込みます。
今日はたっぷりの手羽元と胸肉。合わせて700g超えてますが、500円以内の出費です。もちろん国産しか買いません。
味つけは市販のカレー粉を使わず、クミンやカルダモンやコリアンダーやガラムマサラやホワイトペッパー、チリペッパーなどを混ぜ、色付けはターメリック。
あと、レモン汁とヨーグルトとケチャップと、トマトジュースも、そしてニンニクと生姜。
袋に入れて揉みまくって、2時間寝かせてからフライパンで焼き目をつけて蒸し焼きし、さらにコンベンションオーブンでカリッと仕上げました。
キャベツのポトフは、丸ごと鍋から取り出すのが難しく、仕方がないので鍋の中で4等分にして、お玉ですくいだしました。ちょっと見た目はガッカリですが、味には支障がありません。
タンドリーチキン……もう少しスパイシーでも良かったかな? と反省しながら、胸肉よりも手羽元の方が断然美味しいことに確信がもてました。
結局、ご飯も食べずにおかずだけでお腹がいっぱいになりました。
「あ〜幸せ〜!!」
それから風呂入って、出てきて、
「わっ! えらいこっちゃ!
ナマコ くうの、忘れてた!」