エッセイ 訳詞 ニセのアホ
レコーディングの二日めの休憩の時に、訳詞の話でもりあがった。
ここで言う訳詞とは、海外の歌を日本語の歌詞に訳すことをさす。
真っ先に名があがった最低の訳詞は、「ヤングマン」。
もともと、めちゃくちゃあやしくて過激な、ヴィレッジ ピープル の歌を、西城秀樹のマネージャーが、素人感丸出しで訳したということであるから、いたしかたがない。
♪ 「〜君も 元気だせぇよ〜」
当時この歌詞を聞いて、椅子から転がり落ちた記憶がある。
なんたるダサさ。
文化の臭素爆発。
それでもこの歌は歌謡大賞もとり、累計180万枚が売れて、結果的には西城秀樹の代表作にもなったというから世も末であるし、西城秀樹も不本意だったと信じたい。
歌詞の内容や品質が、鼻くそほども気にされていないという現実が、見事に証明された歴史である。
私の本音を言えば、当時の日本人全員、切腹ものである。
いくらレコードが一時的にバカ売れしても、
こんな歌詞の歌を歌った歌手は絶対に、長い目でみればつぶれるに違いない。いや、つぶれるべきである。
私は、今も当時も、そう確信した。
さて、ひととおり話がもりあがって、すぐにその場で iPhoneからAmazonに発注したら、
翌日の休憩タイムに、佐川急便が我が家に届けてくれた。
西城秀樹ではない。ヴィレッジ ピープル のベスト盤である。
YMCA
IN THA NAVY
MACHO MAN
GO WEST 等々
聴いているうちに、わからない英語でも、どんどん元気になる。
「君も 元気だせぇよ」などと言われなくても……。もちろんゲイでなくても……。
スペシャルズもそうだったが、
やっぱり、「真剣なアホ」でなければならない。
日本人のアホは、ニセモノのアホがやたらと多いような気がして仕方がない。
「ヴィレッジ ピープル」の、全世界での総売上は、5千万枚。
今もまだ、メンバーが変わりまくって、やってるらしい。
正直、凄いと思う。
ところで、今回のレコーディング。
まずは初年度、5百万枚…ちがう、
なんとか5百枚、売れますように……。
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