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映画鑑賞 全員スカタン

 観て良かった映画を、短文で語ろうと思うが、ストーリー展開や具体的なネタバレはしないかわりに、主観に重きを置きたい。

 あらゆる表現物には、比喩的な要素が重要な役目を果たすが、映画は特にそれが軸となる傾向が強い。

 タイトルは、【リトル・ミス✴︎サンシャイン】。
 最初に、この映画は、ロードムービーである。
 ジャンルなんて本来どうでもいいのだが、ポスターにも黄色いレトロなワーゲンバスを、ドンと前に出しているから仕方がない。

 ロードムービーは、道であり旅であるから、当然、人生そのものを凝縮して描くはずである。

 さらに、ロードムービーに、必ずと言ってもいいほど常備されている"目標"や"ゴール"や"目的" は、この映画では、タイトルからもわかるように、子供のミスコンテストである。実に胡散臭い。

 人生が、実は馬鹿らしいコンテストでしかないことを、この映画は、暗示ではなく、ハッキリと示しているのだ。

 そこから受ける心理的効果は絶大で、それは「社会的な負け組でもいいじゃないか」という安心感に他ならない。

 その安心感が、かなり正しい幸福感を味あわせてくれるから気持ちいい。

 アメリカには残念ながら、日本の関西地方で使われる、"スカタン" という言葉がないに違いない。あればタイトルが変わっていただろう。

「二度と馬鹿げたレースに参加するな」
「参加できなくても、全然困らない」

 それが、私にとっての"この映画"のテーマであり、そして、いい映画だという最大にして充分なる根拠なのである。

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