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浸透圧をわかりやすく 【生理学】


浸透圧とは…


 浸透圧とは濃度の低い液体から濃度の高い液体の方に、境にある半透膜を通って溶媒が移っていく時に生じる圧力のことです。


浸透圧に関する単語の説明


溶質:液体に溶けている物質
溶媒:溶質を溶かしている液体
溶液:溶質が溶媒に溶けた液体

全透膜:水も溶質も自由に通れる膜
半透膜:水は通すが溶質は通さない膜



浸透圧の実験




実際に浸透圧とは何なのか物理学的な実験を行ってみます。


 全透膜で仕切られた水槽を用意します。全透膜とは水も溶質も自由に行き来できる膜です。これに6個の粒子を一方の溶液だけにいれてみると、粒子はランダムに動き、最終的に両方の溶液には粒子は等しく分布します。つまり平衡状態では3個ずつの粒子がそれぞれの溶液に存在するということになります。【図1】

【図1】



 次に2つの溶液を隔てる膜を半透膜に変えてみます。半透膜は水を通しますが、粒子は通さない膜です。この水槽の場合6個の粒子を一方の溶液にのみ入れると、粒子は半透膜を通過できないため、片方の溶液内に6個全ての粒子がとどまります。そのため半透膜を介した2つの溶液に濃度差が生じます。粒子の数が多い溶液、つまり濃度が高い方に水が流入していきます。最終的には、一方の溶液の体積は増え、もう片方の溶液の体積は減ることになります。【図2】

【図2】



なぜ濃度の濃い方に水が移動するのか…?


 半透膜を介した水の移動は、浸透と呼ばれ、純水の側で生じる水分子と膜の衝突が、溶質の溶けている溶質側での水分子と膜の衝突よりも多いために生じます。水分子は、水分子の濃度勾配に従って移動し、単位体積当たりの水分子の濃度が高い方(純水側)から低い方(水+溶液)へと移動します。



浸透圧は測定できる?

 【図3】では溶液は半透膜で区切られ、チューブが取り付けられています。チューブが取り付けられた側の溶液に粒子を入れてやれば、水分子はチューブ側の溶液に流れ込みます。溶液の高さが高くなると、底面にかかる圧力が高くなります。液面が高くなることにより、液面が低い純水側へ水を移動される力がかかります。これは純水側からかかる浸透圧と等しくなるまで上昇し、等しくなると水の移動はなくなります。水の移動がなくなった時水槽は平衡状態に達したといえます。
 溶液の浸透圧を知るためには、チューブ側の圧力を測定すればよいため、チューブ内の液面の高さを測定することで浸透圧を測定できます。

【図3】



まとめ

 はじめに浸透圧とは濃度の低い液体から濃度の高い液体の方に、境にある半透膜を通って溶媒が移っていく時に生じる圧力のことだと書きましたが、
直観的に言うと浸透圧とは、溶液に溶けている溶質がもつ「引っ張る力」だと考えることもできます。つまり、水は浸透圧によって、半透膜を介してひっぱられるのです。循環システムの中では、蛋白などの膜を通過できない溶質により生じる浸透圧のことを膠質浸透圧と呼びます。



参考文献
病気がみえる vol.8 腎・泌尿器 単行本 – 2019/10/25 医療情報科学研究所
臨床がわかる腎生理 2018/10/25 柴垣有吾




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