映画『ピアニストを待ちながら』10月15日(火)佐々⽊敦(批評家)×七⾥圭監督 アフタートークレポート
10月15日(火)、2100アフタートークのゲストは批評家の佐々木敦さんです。佐々木さんは「45分版も観ていたが、今日改めて61分版を観て、すっきり理解できた」とコメント。
佐々木さんのなぜ「ピアニストなのか?」という質問に対して、七里監督は「ライブラリー側からのオーダーは、まだ作品にはなっていないが、工事記録も作ることだった。それで、図書館の成り立ちにも向き合ううちに、4号館に建てることを決めたのは村上春樹さんだと聞き、なぜ、4号館なのか?という謎解きから始めた。
そして、学生運動の時代に山下洋輔さんの伝説のライブがあったことを知り、清潔になって行く早稲田に違和感を感じていたこともあり、歴史を作品に滑り込ませたいと思って「ピアニスト」を登場させた。
外に出ていけるのに出て行かない。インターネットに閉じ込められている社会がまさにそうなのではないか。指先だけの動きでそれを表現したかった。
幽霊譚であることと絵美の「あれ、今何か聞こえなかった?」という台詞は、鈴木清順『ツィゴルネルワイゼン』の中砂の「いま何か言ったか?」を想起させた。死者の夢に生者が閉じ込められるという設定もそう。ツィゴルネルワイゼンの原作『サラサーテの盤』は内田百閒によるものだが、同じく内田百閒の『山高帽子』を下敷きにして山本直樹さんが漫画『眠り姫』を発表しており、それを原作にして七里監督が映画にした。全てがつながっているのではないか。