写真表現って何だろう?「トモ・コスガの言葉なき対話」ポートフォリオレビューLive感想
はじめに
ポートフォリオレビューというのをご存知でしょうか?
写真作品をつくっているとよく耳にする言葉ですが、世間的な認知度は高くないように思います。わたしも少し前まで知りませんでした。
写真の世界で「ポートフォリオレビュー」とは写真作品をキュレーターや編集者、写真家など写真を見るプロに一対一で見てもらい、レビュー(講評・批評)を受けることを言います。プロから写真の講評をしてもらえるだけでなく、作品を売り込む場でもあるようです。多くの場合が有料です。
(説明が不足していたらご指摘ください。)
トモ・コスガの言葉なき対話
自粛期間がはじまってからというもの、いつも以上にYoutubeを見ていたのですが、そこで「トモ・コスガの言葉なき対話」というチャンネルを発見しました。
チャンネル紹介には「写真表現チャンネル」とあります。
動画を見ると、写真集の紹介や写真フェスティバルレポートの他、公開ポートフォリオレビューをYoutube上でやっていました。その時はポートフォリオレビューってYoutubeでもやってるんだ〜へ〜ぐらいの気持ちで見ていましたが、今思うとすごいことだな・・・と思います。
レビューを受けているのは番組に応募をした視聴者のようです。トモ・コスガさんは写真家深瀬昌久さんのアーカイブスのディレクターをされている方で、詳しい経歴はご本人のSNS等で見てもらったほうが早いので割愛しますが、その確かな知識と経験でとっても充実したレビューをされていて感銘を受けました。
ちょうどその頃のわたしは時間があったこともあり、大量の過去の写真を整理していたところでした。トモ・コスガさんの動画に触発され、いっちょ作品づくりをしてみようと思い立ち、テーマを考えたり写真をセレクトしたり、作家の写真集を研究して見たり。何これ楽しい!と時間を忘れ写真に没頭するようになっていました。
毎日せっせとつくっていると、この作品をポートフォリオレビューに出してみようかなあとも思えてきます。
でも、自信がありません。勇気もありません。
そんな時、トモ・コスガ言葉なき対話チャンネルから発表がありました。
「公開ポートフォリオレビューLIVEをやります!」と。
すごい。本当にすごい。と感激し、よーし応募しよう!と踏ん切りがつき(通常のポートフォリオレビュー動画は顔出しでの対話でしたが、ライブは作品だけだったのも大きいですが)、締め切りの日曜夜に向けてせっせと作品づくりに励みました。
というわけで、前置きがめちゃくちゃ長くなってしまったのですが、トモ・コスガさんの「第2回公開ポートフォリオレビュー」内で素晴らしいレビューをしていただいたので、noteを通して感想をお伝えしたいと思います。トモさんご本人にはメールで感謝と感想をお伝えしてはいるのですが、ポートフォリオレビューを視聴くださった方にもわたしの感想を伝える場があってもよいのではと思い書くことにしました。
感想の前にこちらの動画をご覧ください。
(わたしのレビューは1番目です。)
---感想ここから---
水曜21時、公開ポートフォリオレビューLIVE第2回。
応募したのが第1回の締め切り日で、第1回配信はドキドキしながら見ていたのですが、第2回は気楽な気持ちで見ていたところ、まさかの自分の作品の登場に震えました。
事前にお知らせはしません、と書いてはありましたが本当にいきなりだ〜と、夕飯中のことで箸はピタリととまり画面に釘付けに。(幸い焼肉だったの配信後に美味しくいただけいました。)
●ステートメントについて
作品のステートメントをしっかりと作り込むのがはじめてで、何度も書き直し最終的に言葉で説明しすぎな部分を消していきました。曖昧な表現(ポエムになりがちな)部分もできるだけ削りました。
こんなにさっぱりしてしまって伝わるのかなと、夫に何度も校正に付き合ってもらい(夫よ本当にありがとう)大丈夫と言ってもらえたので最後は納得して出したのですが、Live序盤の写真スライド時点ではかなりビクついておりました。
レビューを聞いていると、言葉に込めた意味を見事に的確に読み取ってもらえびっくりです。いや、それ以上じゃない?と。
●タイトルについて
「P/A/T/H」というタイトルは写真の整理をはじめた当初からイメージしていました。ただアルファベット4文字では物足りなさを感じていて、もっとボリュームはでないかと考えて結果「/」(スラッシュ)を入れることに。
レビューで「-」(ハイフン)の提案を聞いた時、なぜ思いつかなかったのだろう!と。記号の意味合いや形がテーマに合っているのは「-」だなと。
●本について、組み写真について
レビューLiveを見ていただくと分かるのですが、今回とても丁寧なレビューしていただき、本の形式にまとめていただきました。
実は応募写真をまとめるにあたって、構成の段階で見開きの組みとしてセレクトをしていたのですが、応募時点ではそのことはお伝えしていませんでした。
作品として構成しようとした時、旅の記録的な時間軸に沿った方法以外のまとめ方を知らず時間がかかず苦労しました。
Liveの中で物語的な見せ方についてお話しされていましたが、わたしは今回の作品をひとつの物語として見せる意図はなく、道の写真作品として考えていたのですが、何もないところから順番を決めることはできず、
旅に出る前(室内からの風景)
まだ見えない世界(暗い、道が不明瞭)
きっかけ(飛び立ち、躍進)
クリアな風景
最果ての地に辿り着く
というストーリーを思い描きながら組みました。
並べることはできたものの、どこかで写真集というより、主観的なエッセイのような雰囲気があるなあと。作品をまとめるためにできるだけたくさんの写真集を見ていたのもあって、作家の写真集のようなもうちょっと違う並べ方もしてみたかったのですが、どうにもこうにもうまくいかず。もともとロードムービー好きの自分としては、これはこれで良い!ということで完成させました。
トモさんのアドバイスを聞いて、まず3枚目の夜の雪の写真について、Liveで見るとたしかに飛び出せない!と客観的に見ることができました。そして、そこだったのか!と開眼しました。編集者の視点ってやはり撮る側とは違います。
あと、本にまとめていただいた際に外されていた写真(暗い水面と蜂の写真)は、わたしも最後まで悩んだうちの2点だったのですが、今だからわかるのは、その2点はストーリーの演出としての要素が強かったように思います。
衝撃だったのは、なぜその2点だとわかったのだろう?と。
Dot peopleについて
今回応募作品のほかウェブサイトまで見ていただけたようで、フリーランス時代につくり、ほぼ更新せずに放置されていたサイトがここで役に立ってくれるとは・・・と。Dot peopleは唯一作品的にまとめかけた写真群で、登山で撮った写真に小人のように映っているのがたまたま何点もあり、気に入っていためタイトルをつけたものです。
まさか、ここで点と点が繋がるとは!と衝撃すぎました。
最後に
作品を褒めてもらえた喜びも大きかったですが、それ以上に写真で表現したかったことが伝わってたことが何よりも嬉しかったです。正面の道の線と左右の景色の点、それを写真でひとつに繋げるという、わたしが今回の作品に込めた思いが100%伝わっていて感動しました。
今まで写真を撮るばかりで表現すること、伝えることを遠ざけてきたように思います。今回、正面を向いて写真を作品にしようと思ったのははじめでした。
また、作品の意図を読み取くトモさんの洞察力とレビューへの熱意に感動しました。機会をいただき、またレビューをしていただき本当にありがとうございます。
---感想おわり---
トモ・コスガさんに送ったメールと、レビューLiveの自分用メモをもとに感想を書き連ねてみました。取り留めなくてすみません。
わたしがこの投稿で一番お伝えしたかったことは、
「トモ・コスガの言葉なき対話」めちゃくちゃ面白いから、写真好きはみんな見てね!ってことです。あと、作品を思いきって応募したら、想像以上に広がるよ!ってことです。
多種多様の表現者には、様々な考え、見え方があるとは思いますが、いろんな角度の意見も含みながら、もっともっとたくさんの人にトモ・コスガさんの番組、活動を知ってもらえるといいなあと思いました。
おしまい
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