ざわめきが消え行く街に星はなく [第12話]

地下鉄丸の内線で通学してましたので銀座までは乗り越しで行けました。

大人たちの雑踏に揉まれながらソニービルの前で待ちます。

約束の時刻は過ぎます。

そこに居る誰もが恋人を待ち続ける人で、しょぼい学生の私は、コツコツと音を立てて歩く大人の靴の足音の渦に巻上げられて潰されそうでした。

まだ待ちます。顔ぶれが変化してゆく中で時間は無音に過ぎる。

予感とは動物的です。ひとりの女性と視線が合って止まった。じっと動かない。

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【後記】

続篇。久々に書きました。

休日なので、のんびりと玄関先に出て雨の降るのを眺めておりました。山茶花の新芽やあじさいの葉、その他、雑草が雨粒に打たれています。なかなか風情があります。

遠い昔に、雨に打たれて歩いた街が懐かしくなって、重いペンを持ちました。

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まだまだ、続く。
62回まで。