たあいない夢なんか とっくに切り捨てたきみ [第53話]
あのころのまま
歌:ブレッド&バター
作詞作曲:ユーミン
----
6時のターミナルで ふりむいたきみは
板に付いた 紺色のスーツ
今でも気まぐれに 街をゆくぼくは
変わらないよ ああ あの頃のままさ
去りゆく若い時間を ひとり止めているようで
うらやましいやつだよと はじめて笑ってくれた
For Yourself For Yourself
そらさないでおくれ その瞳を
人は自分を生きてゆくのだから
ネクタイ少しゆるめ 寂しげなきみが
馴染みの店に 腰すえる夜は
陽焼けした両足を 投げだしてぼくも
“SIMON & GARFUNKEL”久しぶりにきく
人生のひとふしまだ 卒業したくないぼくと
たあいない夢なんか とっくに切り捨てたきみ
For Myself For Myself
幸せの形に こだわらずに
人は自分を生きてゆくのだから
For Yourself For Yourself
そらさないでおくれ その瞳を
人は自分を生きてゆくのだから
For Myself For Myself
幸せの形に こだわらずに
人は自分を生きてゆくのだから
(引用終)
----
■ 鶴さん
ユーミンの歌を、ブレッド&バターが歌っている。
独特の響きと粘っこく立ち上がるリズム感覚が、彼らの歌い方のスタイルだ。
鶴さんと有楽町で待ち合わせ、銀座を歩いたあの頃にも、ユーミンのこの歌が流れていた。
そして、この歌が何年も後になって、私自身のことのように身に沁みてくるなんて、あのときには、想像もしなかった。
そりゃあ、そうだよ。「あの頃」の真っ只中を生きていたんだから。
鶴さん。
もう少し、書くことにします。
ゆっくり、ゆっくり。
続く