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ぼんちゃん ❺

幸か不幸か、いちかばちか

色もとりどり、それは鮮やかな入学式を終え、住み慣れた地元で一晩養生した私は、翌日のオリエンテーションに参加するべく再び片道1時間半の電車に乗り込みました。

オリエンテーションは、授業の種類、履修の仕方などについて説明を受けてから、100名ほどで構成された社会福祉学科生を更に細分化し、それぞれ20名程の小集団にてグループワークを行いました。

同じグループ内に、昨日の全体説明で後方の席に座っていた、派手な見た目の都会ギャルもいました。
高校時代の「きいちゃん」に続き、のちの親友となる、「ぴーぴ」との出会いでした。

ぴーぴは、元々の目鼻立ちがはっきりしている上に化粧もしっかりくっきりタイプのギャルで、髪の色はほぼ金に近い茶色、社会福祉学科内でも一際目立つ存在でした。

田舎から出てきた私にとっては、とても眩しく、目を合わせるだけで緊張するような第一印象でしたが、ぴーぴは初めての会話で「入学式のあと、はると話したかったのにすぐ帰っちゃうから追いかけたら、めっちゃ早足で追いつかなかった」と笑いながら教えてくれ、ぴーぴが派手だから怯えていた旨を伝えると「人のこと言える見た目かよ!」と、これまた笑い飛ばしてくれました。

慣れない都会に散々緊張していた私ですが、当時はアッシュピンクの髪の毛をエクステの力で臍あたりまで伸ばしており、化粧もしっかりくっきりタイプ、ネイルも長めに施した俗に言うギャルでしたので、ぴーぴ同様に社会福祉学科の中では目立っていたと思います。

グループワークを終え、ぴーぴと連絡先を交換し、実際にはその他にも数名のメンバーと交換し、帰路につきました。

無事、大学生活における友人が出来た喜びをいち早くぼんちゃんに伝え、私の抱えた緊張を目の当たりにしていたぼんちゃんも、安堵した様子でとても喜んでくれました。

後出しになってしまいましたが、大学受験を終えてからすぐに、私は最寄駅近くのパン屋さんでアルバイトも始めました。
平日はパートマダム達の勤務希望が多く、基本的に土日をお願いしたいと雇用契約後に言われ、ぼんちゃんとの逢瀬が土日集中だった私はその時間が削られることに一縷の不安と寂しさを覚えましたが、ともかく新たな日常を過ごしてみて、何か問題が起こるようであればその時に考えようと自身を奮い立たせました。

始まる新たな日々、出会い、高揚、不安。
ぎゅっと詰め込んだような春の始まりでした。


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