山崎元さんの記事はさすが
保険の記事は推奨派も否定派もヒドいのが多いですが、山崎元さんのこの記事はさすがにマトモでした。
これはまさしくその通りであり、それ以外の「貯金でなんとでもなるような支出」に保険で備える必要はありません。
「貯金のない人はどうすればいいのか?」といわれるかもしれませんが、これら以外の保険(例えば医療保険)は、払うはずの保険料を貯金しておけば十分です(例外的に、長期入院に備えるために医療保険に入るというのはあり得ると思いますが)。
対象を「若いビジネスパーソン」に限定しているのも誠実な書き方で、これが高齢者になれば、先日私も書いたように、終身年金が合理的な選択肢になります。
また、「ビジネスパーソン」ではなく、「経営者」であれば、節税のために保険に入ることが合理的になるケースがありえます。
金融庁はここ数年節税保険潰しに躍起になっていたのですが、「顧客本位」の観点から、顧客にとって有利になりうる保険を提案していながら行政処分まで打たれたのは保険会社としては納得いかないでしょう。金融庁は「保険本来の使われ方ではない」と言っていましたが、それなら、アクティブ投信として使われている変額年金や、貯金と大差ない学資保険などは「保険本来の使われ方」なのでしょうか?
まあ本音としては「節税するなどけしからん」ということなのでしょうが、節税手段を潰したいなら税法で対応すべきで、金融行政で節税手段を潰すという江戸の敵を長崎で討つようなやり方はどうなのかなと思います。
また、問題視された節税保険は、解約返戻金にデリバティブを組み込み、保険契約の本来の価値と税法上の評価額を乖離させることで、節税効果が大きくなるという商品でした。
そんなものそもそも認可していること自体がおかしいのです。おそらく、日本以外でこんな商品は売られていないでしょう。たいていの国では、消費者保護上の理由から、解約返戻金を意図的に操作するような商品は販売できません。
自ら保険本来のあり方とはほど遠い商品を認可しておきながら、それが節税に使われると「保険本来の使われ方ではない」と潰しにかかるというのは「消費者保護上の懸念があってもまあいいけど、それを節税に使うのは許さない」ということであって、さすがに酷い話だなと思います。
保険選びの大原則は、
①遺族(主に子供)の生活費に不安がある場合の死亡保障、②自動車(自転車含む)の任意保険、③住宅の火災保険(持ち家の場合の地震保険含む)、以外の保障・補償は原則として利用しない。
掛け捨て保険を選び、保険での貯蓄や投資をしない。貯蓄は銀行で、投資はインデックス投信でやりましょう。
営業職員や保険ショップは利用せず、ネットで加入する。
ことです。毎月安くはない社会保険料を払って健康保険に加入しているのに、入院1日目からの医療保険に入る必要はありません。お金は大事なのでよーく考えましょう。
よかったら私の本と、山崎元さんの本を読んでいただけるとありがたいです。